2012年1月12日木曜日

「陰翳礼賛」は海外で、一番読まれている日本の本のひとつ、谷崎潤一郎のやせ我慢の美学の世界をデザインの視点で読んでみると面白い。

僕は、自宅に蛍光灯は使わない。蛍の光にしては、あまりにも平坦な明るさが好きになれない。LEDも未だ調光の試行錯誤の途中でしょうね。僕たちが幼い頃、町は本当に暗かった。我々は、夜でも明るいという新しい文明の利便性も享受したが、反面かつての日本家屋にあった独特のほの暗さの文化や陰翳の美を演出する「雪見障子」や「床あんどん」などの日本の間接照明を楽しみを消し去った文明でもあった。















昭和8年に書かれた谷崎潤一郎の陰翳礼賛の世界を読んでみると良い。光があるから陰が生まれる。陰の持つ美しさをたたえている本『陰翳礼賛』は時代を超えて、今やプロダクトデザイナーの愛読書だ。しかも『陰翳礼賛』は海外で翻訳されて、一番読まれている日本の本の一つだ。原研哉さんが「デザインのデザイン」のなかでも「陰翳礼賛」に触れている。

谷崎は純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、「電気やガスや水道などの文明装置は醜いので、それらをどう隠して純日本風家屋と調和させることが難しい、しかし、近代生活に必要な暖房や照明を退けるわけにもいかない」と葛藤しているのも微笑ましい。

「新しい文明を享受したいもののデザイン的には、納得がいかない」という、我々デザイン関係者に今も続く悩みは、谷崎以来未だに解決されない。そういう葛藤が時代を超えて続くのがまた面白い。もっと「谷崎潤一郎の陰翳礼賛」を知りたい方は以下のWEBでも読めます。
http://www.kuniomi.gr.jp/togen/iwai/raisan.htm

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