2016年5月30日月曜日

もし虫が兵器になったら?静電気を使って羽を休めるマイクロドローンは、今後GPSやカメラなどを昆虫に搭載しサイボーグ化して偵察や殺傷に使う兵器ドローンに近づく可能性を持つ。

ドローンが出てきた頃、リモコン飛行機と思っていた人もたくさんいた。そのうちスマホがアクチュエーターを付けて空を飛ぶロボットがドローンだと定義された。そのドローンも参入企業が増え研究者が増え、そしてマニアが増えた。つまりプレイヤーが増えたことによって進化の速度が上がった。その進化の次のフェイズがドローン× ●●● という他の領域との組み合わせだ。

この虫型ロボットはマイクロマシンといっても良いだろう。マイクロマシンは小さくなることによって大きな変化を生み出す。どんな表面にも虫みたいにとまれる小さなドローン(マイクロマシン)もそうだ。静電気を使うという方法は、このドローンが小さく軽いから可能なこと。これらの技術が進化すると兵器ドローンも誕生するだろう。

もし虫が兵器になったら?(hybrid insect micro electro mechanical system)GPSやカメラなどを昆虫に搭載しサイボーグ化して偵察や殺傷に使う兵器ドローン。













静電気を使って羽を休めるマイクロドローン。これにより、ドローンの動作時間を大幅に伸ばすことができるようになります。このマイクロドローンは、生き物にインスパイアされて作られており、どんな表面にも自律的に留まることのできる最小の空飛ぶロボットプラットフォームだ。













このマイクロドローンはハチに似ているが、本体自体は通常100mgのハチよりもさらに軽量な84mg。本体上部には静電気を使った羽休めみ用のパッチが付いており、これによって物に留まることが可能になる。羽休めの場所となるターゲットとドローンの位置調整にはモーショントラッキングカメラが使われている。















image by Harvard Microrobotics Lab/Harvard SEAS
source: Science
http://www.gizmodo.jp/2016/05/micro_drone.html


2016年5月29日日曜日

我々の日常は問題だらけのUIに囲まれていて、それらに柔軟に対応しなければいけない。デザインにおけるアフォーダンスは人の記憶(経験)から補完される要素も大きく。その記憶は変化を求めない。































UIやUXを調べていたらおもしろいサイトに行き当たった。さて左上のバーナーに火をつけたい場合、どのツマミをひねりますか?というもの。このコンロにはいくつかのアフォーダンス的な問題がある。我々の日常は問題だらけのUIやデザインに囲まれている。
Spiral Burner Cooktop by Alireza Alavi » Yanko Design

• バーナーとツマミの対応付けが曖昧なので、付け間違い、消し間違いが起こりやすいというミスリードの問題。
• よく見るとツマミの側にアイコンで示されているけれど、これが長年の使用で消えてしまったら、もはや手がかりがない。
• 汚れやすい場所にツマミが付いているので、掃除の時にバーナーに火がついてしまうかも知れない。

上のUIの問題をいくつか解決したものが次のコンロだ。
Scale Gas Range by Naeun Kang » Yanko Design
















こうなっていると分かりやすい。ハードウェアの対応付けという意味で。


次は毎日色々なエレベーターの間違ったデザイン至上主義に偏ったひどく使いづらいUIに、瞬時に対応しなければいけない緊張感。デザインだけでなくアフォーダンスは人の記憶(経験)から補完される要素も大きいのだから、公共物は、あまり変えない方が良いのではないか?























パソコンもスマートフォンもネットも使ったことのない人にとって、Amazon でものを買うことも難しい。つまりデザインは人の記憶を利用できるという意味でアフォーダンス的だという認識も重要だ。

2016年5月27日金曜日

久しぶりに興奮するスマホが出てきた。Googleが開発するモジュラー交換式スマートフォン「Ara」は自作するスマホだ。














「Ara」は、2016年後半に開発者向けの「Developers Edition(開発者エディション)」がリリースされることが正式に発表された。そして、2017年には一般向けの製品版Araスマートフォン&モジュールが市販されることも決定している。
従来、「Endoskeleton」と呼ばれていたモジュールを固定するベース部分はSoCやメモリ、ストレージ、メインディスプレイ、バッテリー、アンテナがあらかじめ搭載された「Ara frame」に変更された。
Ara frameには6つのモジュール用スロットがあり、最大6つのモジュールを搭載可能。当初、AraはSoCやメモリ、ストレージ、メインディスプレイ、バッテリーなどを含めたあらゆる機能性モジュールを交換できるという構想だったが、基本的な構成はAra frameに固定した上で、カメラやスピーカーなどのオプション機能のみを交換する方向に変更されている。



http://gigazine.net/
Ara
https://atap.google.com/ara/#developers


2016年5月26日木曜日

友人のアーティスト戸田正寿がついに完成させた「発光する一枚の板」、この技術は市場から照明器具が消える日をもたらす可能性のある大きなイノベーションにつながる。














「Lightface(ライトフェイス)」は光のカンバスだ。この発明のユニークさはエンジニア主導ではなくクリエイターが主導してできあがったことだ。クリエイターの右脳は完成のイメージがすでに脳内に出来上がっている。そのイメージ(最初からの構想だった薄くて、枠がなく、ムラのない光の板)をエンジニアは実現させれば良いのだ。













LED照明を人類は研究してきたが、すべて科学者、技術者が考え、作ったものだった。一方クリエーターの視点、考えで出来たのがLightfaceだ。これだけの強い照度(最大20,000ルクスの高照度)を持った板状のLEDが完成すると、ライバルの有機ELは現在のところ100ルクス程度なので照度の点では比較にならない。













クリエーターが照明の概念を変えた『美しい革命』だ。このテクノロジーに出会ったときに感じたことは、このテクノロジーが完成し量産が始まると照明器具が世界中からなくなるかもしれないということだ。今の照明器具は電球をねじ込む受け口、光を発する電球、傘など出来ていて複雑だ。ところがLightfaceは発光体の板一枚だ。













つまり照明器具は不要だ。これは大きなイノベーションにつながる可能性がある。市場から照明器具が消える日が来るかもしれない。一般的にデザインに力を注ぐ建築家は、照明(光)は求めるが照明器具は見にくいものと見立てて極力隠そうとする傾向がある。

また一方でクリエイターが創造力を自由に遊ばせ、美しさを追求できる。枠がなく、11ミリの薄さ。自然光に近い光。発光面にはムラがない。表面にフィルムを貼るだけでなく平面印刷も可能。「特殊立体印刷」を施すことで油彩の凹凸や陰影まで、原画の細部を忠実に再現。Lightfaceの光を背面から受けて「光る絵画」に生まれ変わるデバイスを戸田正寿は「厚さ1センチぐらいの光る板が作れれば…」と執念で完成させた。













これからの照明の役割は、「明かりを取り入れる」だけでなく「空間の演出」も求められている。Lightfaceは、空間イメージをがらりと変える最大20,000ルクスの高照度で、室内の照明としても十分な明るさを放ちます。調光機能で、時間帯やシーンによって雰囲気を変える演出も可能だ。薄くて軽い、発熱しにくいという利点から、その使用領域は、自動車や列車の車内、航空機の機内などの照明にも広がるだろう。

人間にとって美しく心地よい光がつくれないか。アーティスト戸田正寿がたどりついたひとつの美の姿が、Lightfaceだ。その技術の基礎となるのは、光ファイバーの世界的権威、慶應義塾大学小池康博教授の「光散乱理論」。長年、光を追い続けてきたレンズ専門メーカー日東光学の技術力との出会いにより、商品化した。次世代の光を演出するイノベーションだ。
http://lightface.jp/



2016年5月25日水曜日

「スタジオ・ムンバイ」は、オーガニックな素材や伝統的な技術を大事にしインドローカルの強みを発揮している。ローカルな特性が生み出す独自のモノや価値をグローバル市場に送り出して競い合う。


相変わらずデザインのブログなのに、デザインにインスピレーションを得てその事象を分析してしまう癖が私にはある。それをおもしろがってくれる読者もいれば、デザインブログだからデザインを話して欲しいという読者の方もおられる。















さてインド最大の都市ムンバイに拠点を置く建築事務所『スタジオ・ムンバイ』は、このところ活躍が目立つ。オーガニックな素材や伝統的な技術を大事にしローカルの強みを発揮している。建築家と職人たちが共同でデザイン活動を行っている。















そのデザインはインドローカルそのもので、グローバルデザインのトレンドとは無縁だ。皮肉なことに、そのことが痛快で好奇心を誘いグローバルな評価を得ている。















グローバルに行動し、ローカルで考える。広く世界を舞台にしたビジネスにおいては、当然ながら、ローカルな考え方だけでは商品のブランド力は低下する。

一方で、たとえグローバルに舵を切っても、そのうちに世界中で同様のことがおきてすぐに陳腐になってしまうのだ。そのサイクルをうまく見極め、バランスポイントをみつけることが必要だと思う。
































ユニクロの柳内正氏は、イギリスに進出した際の失敗についてこう言及している。「私たちはひどく失敗しました。一番の過ちは、何でもイギリス風にやろうとしたことだ。自分たちの日本という強みを活かそうとしなかった。」と敗因を総括している。

























一方Mujiは、シンプルな商品デザインで成功を収めた。Mujiはその後ヨーロッパで大成功をおさめている。Mujiには世界中で、人々は日本の禅的なシンプルさやデザインに魅力を感じている。ヨーロッパの人々の目には、そのシンプルさは外国風で魅力的と映ったのだ。日本というローカルの強さでグローバル展開が進んでいる

























グローバルビジネスを育てるにあたり、自分の国のアイデンティティー、価値観やビジネスのやり方を変えなければならない、などと思い込まない事が重要だろう。

日本のおいしいご飯を作る炊飯器や軽自動車などローカルに徹した商品はグローバルな評価を得ている。ローカルに徹している企業が真の意味でのグローバル企業になれる面もある典型だ。




http://www.designboom.com/
http://goo.gl/c3F0Ww
http://globe.asahi.com/feature/100705/04_3.html



2016年5月24日火曜日

“「ユニクロはクリエイティブではない」敏腕ジョン・ジェイは何を変えるのか”を読んで、ずいぶん昔にPENの「デザインのたくらみ64」に書いた「ジョン・ジェイ」の文章を読み比べてみた。

Pen0901 デザインのたくらみ64
「ジョン・ジェイ」

ナイキなどの広告を手がけている広告会社、ワイデン&ケネディ(W&K)にジョン・ジェイというクリエイティブ・ディレクターがいる。ここ数年は毎月のように会っているが、彼と僕は91年頃に初めて会っている。彼はオハイオ生れの中国系アメリカ人で「W+K」の経営者の一人だ。

98年に日本にやって来て、ワイデン&ケネディジャパンを設立した。この会社の最初の成功は、98年から2000にかけて流されたユニクロの広告だ。1日3〜4時間しか眠らない。

糸井重里氏が「W+Kと一緒に仕事して思ったけど、日本人の五倍ぐらい働いている。茫洋(ぼうよう)としてわからないっていうところでも泳ぎつづけるよね。」と語り「ワーク・ハード」ぶりがわかる。






















また「W+K」のクリエイティブの特徴は、「その会社の意志決定者に直接話を聞く」、「ドキュメンタリー・タッチ」、「日本国内のクライアントを中心に、広告デザインを行っている」の三点だろう。

企業イメージCMの場合、ジョンは、その会社の意志決定者に直接話を聞く。その方が「広告コミュニケーション」の考え方が明確で、何がクライアントにとって大切な問題なのか、あるいはその問題を解決する意識を共有出来る。

あのジョン特有の真剣なパーソナリティーで問いかけ、クライアントの独自性を突き詰めて考えることで、ナイキやユニクロや公文のユニークなブランド広告が生まれたわけだ。

ユニクロのCMは、当時の柳井社長とジョンが、山口や東京で繰り返し会って、「カジュアルとは?」という事を徹底的に議論した。その結果CMのコンセプトは、「カジュアルはみんなのもの」という民主的な考え方と、「金額は下げてもクォリティーは高い」ブランドにするというもの。

固定カメラの前で、山崎まさよしのような有名な人から、まったく無名な工事現場で働く人にも、「あなたのスタイルを教えてください」とテリー伊藤が質問し、その発言には平等に30秒間あげるという「W+K」らしいドキュメンタリー・タッチ。

今テレビでやっている「公文」のCMは、ビートルズのハロー・グッドバイの音楽に乗って、子供たちを自由に発言させ、ドキュメンタリー・タッチでとらえている。あるバージョンでは6歳の子供が、「野口英世とシュヴァイツァーを足して2で割ったような人になりたい」、「自分で病院を作りたい」と言う。

そして最後に「教室を見に来てください」でくくる。CMに写るKUMONのOが、「考える顔」(thinking face)のロゴマークであり、基本デザインになっている。それは、子供たちの顔であり、大人や社会の人々の顔というメッセージをデザインした。たった30秒の広告のために、この子供一人だけで一時間も撮影し、一本のCMに対して一週間もカメラを回すそうだ。 

「W+K」が加わってから、「公文」のブランド価値は、目を見張るほどに変化を遂げた。昨年も、日本の大学卒業者に対して、企業好感度調査があった。もちろん、上位に名を連ねるのは、ご存知ソニーやトヨタなどだ。そこにランク外だった「公文」が突然トップ20位にランクインしてきた。それは、公文というブランドの著しい変化だった。

一般的には外資の広告会社は、日本に進出している海外の企業を中心にクリエイティブを行っている。しかし、「W+K」がユニークなのは、大半が日本国内(ドメスティク)のクライアントを中心に、クリエイティブを行っている点。そのために、50人ほどのスタッフのほとんどがバイリンガルの日本人クリエイターで構成されている。

結果として、日本の文化や企業に深く切り込む「洞察力」を使い、企業イメージをデザイン出来る。最後にドキュメンタリー・タッチという手法。有名人だけに頼らない、ヨンさまのような、時の人にも頼らない。なぜなら、いまはフィクションよりも、実際のスポーツやニュースなどのほうが「信じられないこと、奇跡のようなこと」がおきていて、人々の心をつかむことが出来る。

ドキュメンタリー・タッチの広告は、フィクションに慣れた見る人にとっては、「この広告が自分に見て欲しいんだな」と思える。そして、視聴者は広告の中に自分を投影しやすいのだろう。

“「ユニクロはクリエイティブではない」敏腕ジョン・ジェイは何を変えるのか”
http://www.fashionsnap.com/inside/uniqlo-johncjay/ 




2016年5月23日月曜日

ティーバッグも発明から100年が経ち、これだけファンシーなティーバッグが売り出されている。お茶の葉の入った袋とそれを引き上げるためのモチーフがデザインの対象になる。


お茶は水に次いで世界で最も人気のある飲み物だそうだ。世界中の人々は60億カップのお茶を毎日飲んでいる計算になる。ティーバッグの歴史は1908年にコーヒーの貿易商のトーマス・サリヴァンによって偶然に発明されたというのが定説となっている。




























商品サンプルの紅茶の葉を絹の袋に詰めて小売業者に送ったところ勘違いされて、その袋のままお湯につけて紅茶を煮出してしまったのがティーバッグの始まりらしい。wikipedia




























そのティーバッグも発明から100年が経ち、これだけファンシーなティーバッグが売り出されている。金魚、折り紙の花が開花するもの。チョウチョ、猛禽類の鳥がお湯に入ると穏やかなスタイルに変わる物。



























いるか、ハンガーに衣服のようにぶら下げられた物。傘、紙の船が浮かぶ物。英国王室のスター達がお風呂に入るようなもの。ポラロイドのタグがついた物、多種多様だが、お茶の葉の入った袋とそれを引き上げるためのモチーフがデザインの対象になる。










http://www.boredpanda.com/


2016年5月22日日曜日

通常報道のムービーで見るような事件や事故や戦争などでの破壊シーンを、あえて立体のままリアルに表現し、しかも静止している。これが却って見る物に破壊の恐怖を感じさせる。















「プロジェクト‘De Evolution I, II + III’」は、写真家ルーク・カーワンとインスタレーションの「リンゼー・ミルン・マクロード」のコラボレーションで行われたインスタレーション作品。テーマは事件や事故、戦争などでの破壊や崩壊などを扱っている。

通常報道のムービーで見るようなシーンをあえて立体のままリアルに表現し、しかも静止している。これが却って見る物に破壊の恐怖を感じさせる。現物を見たことがあるが、かなり迫力があった。















リンゼーは、もともとは演劇のためのデザイナーとしてスタートし、インテリアの世界ではダナ・キャラン等コマーシャルの世界で成功を収めている一方で社会的なメッセージを作品を通して発している。


http://www.lmmstudio.com/


2016年5月21日土曜日

メカトロニクスとデジタル双方のテクノロジーの専門家でもあるトビアス。こういう他分野における専門性を多く持つ人をスラッシャーと呼ぶらしい。


ドイツのデジタルアーティストTobias Gremmler は、カンフーのモーションキャプチャの美しいビジュアライゼーションを製作した。ブルース・リーの映画では Kung-fu と書かれ、英語読みされた「カンフー」が世界的に中国武術一般の総称として広まった。

その姿や動きは無駄がなく美しい。そういう実際のカンフーの動きを正確にキャプチャーしデジタル動画に仕上げた作品。

Kung Fu Motion Visualization from Tobias Gremmler on Vimeo.
Tobias Gremmler の専門性は多岐に渡る。design/media art/book publications/digital communication/research/teaching…と書かれているがメカトロニクスとデジタル双方のテクノロジーの専門家でもある。余談だがこういう他分野における専門性を持つ人をスラッシャーと呼ぶらしい。

Creative Education and Dynamic Media
http://www.amazon.com/Creative-Education-Dynamic-Tobias-Gremmler/dp/9629372215?ie=UTF8&ref_=nav_signin