2016年12月31日土曜日

サブカルチャーを知ることにより、時代背景に隠された大衆のリアルなインサイトが見つかることがある。

最近ビジネスパートナーに言われて気がついたことは、仕事をする上で「サブカル好き」な人とは仕事がしやすいと言うことだ。ティム・リーバーレヒトの「機械が発達する時代に人間らしい会社を作る4つの方法」のキーワードがそのヒントになるだろう。














「必要でないことをすること」「 親密さを作り出すこと」 「醜くあること」「 不完全であり続けること」だという人間中心主義の復権とサブカルは類似している。そしてサブカルチャーを知ることにより、社会情勢や時代背景に隠された大衆の本当のインサイトが見つかることがある。















「ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したことは、かつて“カウンターカルチャー”と呼ばれていた人がハイカルチャー(メジャー)になった。つまり時代の価値観の変化でかつてのカウンターカルチャーがメインカルチャーに融合された瞬間でもあった。

























カウンターカルチャーは「対抗文化」と訳すべきだろう。かつて日本のカウンターカルチャーはそれなりにあった。たとえば寺山修司や若松孝二や大島渚達が行った表現はカウンターカルチャーと呼べた。1960年代の米国のカウンターカルチャーは公民権運動や反戦運動などの政治的ベクトルと繋がっていた。














LSDの高僧ティモシー・リアリー 、デニス・ホッパー、イージー・ライダーに出演したピーター・フォンダ 、ジョン・レノンあたりがカウンターカルチャーの旗手だった。しかしこの数十年の間にカウンターカルチャーと呼べるものは無い。なぜなら反抗すべき主流の権力が弱くメインカルチャーへの反抗そのものが成立しないのだ。
































そこで政治的な意図の無いサブカルチャーという言葉も1980年代に日本に輸入され、既存の体制、価値観、伝統にあい対する(対抗はしていない)ものとして使われた。これらの流れは多くの若い知識人を魅了し、「80年代サブカルチャーブーム」と呼ばれる流行を作り出した。

この頃のサブカルチャーは現在よりも多くの領域を包含し、漫画、アニメ、コンピュータゲーム以外にも、SF、オカルト、ディスコ、クラブミュージック、ストリートファッションなどもマイナーな趣味としてサブカルチャーと見なされていた。











「カウンターカルチャー=サブカル」ではない。主流の体制的な文化に対抗する文化(対抗文化)という意味でカウンターカルチャーと言う言葉が使われていた。そしてゲバラがしばしばカウンターカルチャーの賛同者によって象徴とされたのも米国資本主義への対抗(カウンター)という構図がわかりやすかったからだろう。

一方サブカルチャーとは、社会の支配的な文化(メインカルチャー)に対して、その文化から外れた少数派の下位集団(マイノリティ)のこと指し別に「対抗」はしていない。



2016年12月30日金曜日

来年からは肩幅が大きくビックサイズの服が出てくる。ファッションはトレンドを巧みに使い今持っているワードロープを陳腐化させ、新たな需要を生み出す。


「コム デ ギャルソン 2017年春夏コレクション - 巨大な服地で魅せるクラシック&フェミニニティ」を見て、常にフロントランナーでいる川久保玲さんの勇気には改めて敬服せざるを得ない。トップファッションデザイナーは常に年に二回パリで新作を発表する。
































ファッションジャーナリズムの賞賛を浴びることもあれば、批判にさらされることもある。これを何十年も続け評価され続ける川久保玲さんのようなデザイナーはそう多くは無い。単に奇異なデザインと思われる方も多いと思うが、モーターショーのコンセプトカーもようなもので、すこし先の未来のトレンドを示している。キーワードは「Invisible clothes」だという。
































ここ数シーズン、ファッションシーンではビックサイズが一つの鍵を担っている。大きすぎる肩、長すぎる袖が存在感を放っている。実際の店頭では、今も非常にタイトでピタピタの服が並んでいる、ジャケットの丈は短く、パンツも細く短い。
































しかし来年からは一般の店頭でもやや肩幅が大きくウエストもゆるくルーズな服が出てくるだろう。しかし、かつての80年代のビッグサイズとはバランスにおいてもやや違う。こうしてタイトでピタピタの服は駆逐され格好悪い物とされるだろう。
































https://www.fashion-press.net/collections/gallery/26416/457210


2016年12月27日火曜日

書籍「大事なのは今のあなたじゃない。この先、どのくらい上を目指そうと思っているかだ。」ポール・アーデンの名言集。広告マンだったからか説教臭さが無いのが良い。






























長い間大学の教授をやってきたからか、今でもOBOGはもちろんのこと毎週のように若い方が人生相談に来る。そのときに私がアドバイスする言葉と「ポール・アーデン」の言葉が驚くほど似ていることに気がついた。

自己啓発の本は好きでは無いが「ポール・アーデン」の書籍「大事なのは今のあなたじゃない。この先、どのくらい上を目指そうと思っているかだ。 」と「PLAY・JOB (プレイ・ジョブ) (Sanctuary books) 」から名言集。ポール・アーデンは、もともと広告マンだったからか説教臭さが無いのが良い。
































ポール・アーデン:広告業界で18年間過ごしたあと、1977年にサーチ&サーチ社に身を投じ、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターとして15年間活躍。

ブリティッシュ・エアウェイズ、シルク・カット、インターシティ、フジフィルムといった大手の広告キャンペーンを在職中に担当、大きな成功を収め、有名なコピーにも責任者として携わった。その後、ロンドンを拠点とする映画制作会社、アーデン・サザーランド=ドット社を経営した。(1940年4月7日-2008年4月2日)























[ポール・アーデンの言葉]

1,安全策をとっていても仕方がない。先行きの予測がつくことばかりやっていても、退屈な結果が待っているだけだ。

2,一度でいいから勇気を出して「保証のない選択」をしてみるんだ。そうすれば、これまでの常識では考えられなかったことが選択肢に入ってくる。

3,これまで誰もできなかった決断をしてみよう。誰もが夢でしか見たことのない場所にたどりつくには、それしかない。

4,これまであなたが人生で選んできたものは、それしか選ぶことができなかったにすぎない。どこに後悔する余地があるっていうんだい?

5,ジョージ・バーナードは言った。常識的な人間は、世界に自分を合わせようとする。非常識な人間は、世界を自分に合わせようとする。だから人類の進化はすべて、非常識な人間の力にかかっている。

6,自分の人生がどこに行き着くのか。それが知りたいのならば、自分がどこに向かっているかを知る必要がある。

7,あまりにも多くの人間が、準備に時間をかけすぎている。実際にやる前から、すべてを完璧にしようとしすぎているんだ。待つ必要なんてない。動き出すんだ。よくわかっていない状態のままでいい。準備は走りながらすればいいんだから。

8,どうせ、エゴはどうやってもかくせないんだ。だったら無理に隠さないで、うまく利用すればいいじゃないか。

9,これまでに聞いた最高のアドバイスは、「驚かしてごらん」だ。この言葉を心に刻んでしまうと、もうどうやっても創造的にならざるを得ない。

10,常識になっている意見に立ち向かう度胸。それがあなたを勝者にする。




2016年12月24日土曜日

クリムトの「黄金のアデーレ」の返還を求めてオーストリア政府を訴えた映画。そして劇的にクリエイションされた衣装やモデルによって再現された写真作品。

ダナエを引用した写真家インゲプラダーの作品

クリムトのダナエ

 最近ますます忙しくブログの更新頻度が落ちてすみません。さて今日のテーマはクリムト。今年初め、ウィーンの写真家インゲプラダーはオーストリアを象徴する画家グスタフ・クリムトのゴールドラウンドの時期の作品を写真で再構築した。
クリムトの「死と生」

クリムトの「死と生」を引用した写真家インゲプラダーの作品



































この創造的な能力が頂点まで達した頃に制作されたダナエ(1907)や生と死(1908年)などの絵画に設定されたシーンは劇的にクリエイションされた衣装やモデルによって再現されている。
クリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」























またクリムト好きがこうじて映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』奪われたクリムトの名画をめぐる裁判を描いた奇跡の実話を見に行ったことのご報告。

「黄金のアデーレ」。画家グスタフ・クリムトが1907-08年に描いた装飾的な肖像画で、世界で最も高額な絵画TOP10に入る名画だ。

クリムトの「ベートーヴェンフリーズ」














クリムトの「ベートーヴェンフリーズを引用した写真家インゲプラダーの作品
















この映画では、ナチスに奪われた肖像画「黄金のアデーレ」を取り戻すため、オーストリア政府を訴えた実在の女性マリア・アルトマンを主人公に、世界が固唾を呑んで見守り続けた裁判の行方と、この名画に秘められた真実の物語が描かれる。

















主人公マリアを演じるのは、名優ヘレン・ミレン。サイモン・カーティスが監督を行った。数奇な運命を辿り、“オーストリアのモナリザ”となったクリムトの名画に刻まれていた美しい思い出と涙の記憶。全てを失ったマリアが、絵画そのもの以上に取り戻したかったものとは何だったんだろうか?

その名画には、ナチスに運命を翻弄されたマリアと彼女を取り巻く人々の美しい思い出と涙の記憶が詰まっていた。

またクリムトは1879年に弟エルンストおよび友人のフランツ・マッチュと共に共同で美術やデザインの請負を始めた。ブルク劇場の装飾を引き受けており、この功によって後に金功労十字賞を授与されていることからもデザインとアートの両方を行き来した作家だったことがわかる。金箔を多用することからも琳派の影響があったとする評論家もいる。
http://www.fubiz.net/
https://ja.wikipedia.org/



2016年12月18日日曜日

流行はツヤツヤリップからマットリップと反対にトレンドが動く傾向があるようだ。


珍しく女性のトレンドの話、あるビューティーの専門家から聞いた受け売りだが、リップグロスというツヤツヤリップで女のコの可愛らしさを演出する光って潤んだリップが流行ったと思ったら、今度はマットリップというツヤをおさえたマットなものが流行しているようだ。















カイリーのプロデュースのマットリップがすぐに売り切れてしまい生産が追いつかない、今や海外では定番のマット感のあるリップが日本にも上陸した。マットな質感なら肌なじみが良くて取り入れやすい。






















かわいさよりも大人っぽさが重要な海外では、レトロでレディライクなイメージに仕上げられるとセレブにも大人気のメイク。アリアナグランデ、ケンダル、ミランダカー、セレーナゴメスなどもマットリップを早くから取り入れている。





















2016年12月14日水曜日

あなたもビッグデータの中にダイブ出来る。従来はディスプレイの中でしか見ることが出来なかった深層学習したビッグデータの特徴空間をVRで体験できる。
















ビッグデータ×VRのように新しい技術を掛け合わせることによって新しい世界が生まれる典型だ。株式会社UEIは、深層学習を用いて学習したビッグデータをマッピングした特徴空間を実際にVRで体験できる“Feature Space Diver by DEEPstationを開発した。













ビッグデータは、MNISTと呼ばれる0から9までの手書きされた数字を6万件分類したもので、実際に特徴空間の中でファインチューニングを掛けられると見事に分化していくアニメーションもVR空間内で体験できるようになっている。
フィーチャースペースダイバーは、文字通り、特徴空間にVR技術を利用してダイブする技術。これまで三次元の特徴空間は平面のディスプレイとして二次元の射影でしか見ることができなかった。

特徴空間にマッピングされたビッグデータは、VR技術を使用することでより直感的・感覚的に把握することができ、ビッグデータの活用やAIの活用といったことに大いに役立てることができる。













また、単にVRで見るだけでなく、実際に特徴空間を足で歩いて移動したり、スケールを変更してビッグデータの中に入り込んだり、また、見おろしたりと、まさしくさまざまな角度からデータを検証できる。

















また、膨大なビッグデータの分析には、UEIがサードウェーブデジノス社と共同開発したDEEPstation DK-1シリーズのExpert Editionを使用し、VRデモンストレーション用にはDEEPstation DK-1 Basic Editionをそれぞれ使用しているほか、分析にはUEIが株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所と共同開発したDEEPstationを利用している。
http://www.uei.co.jp/news/press-release/2016/06/29/3554/

2016年12月10日土曜日

美しい黒人モデルがダイバシティ問題に立ち上がった。白人モデルが出演した広告を、黒人モデルに置き換えた"Black Mirror”
















急速にグローバル化する社会の今、デザインもイノベーションを起こすだろう。人種、国、文化、宗教、テクノロジー、ジェンダー、年齢等様々な異なる背景に起因する想像を超えた考え方を、デザイン価値として活かすことで製品の競争力に活かす「ダイバシティ based デザイン」の時代の到来だ。















"Black Mirror"では、Calvin Klein、Chanel、Guess、Gucciなどからの広告を白人モデルから黒人モデルに置き換えるプロモーションの提案だ。Howardは3日前に投稿したにすぎませんが、エージェントのCosmoには、すでに代理店やブランドから働きかけを受けているようだ。














WHAT:美しい黒人モデルDeddeh Howardが有名なファッション広告を再現する「Black Mirror」と呼ばれる新しい写真シリーズ。
WHO:Deddeh Howard















アフリカで成長し、私は黒人と白人の差異については何も知らなかった。私たちはすべて平等だと私は信じています。私たちは誰でもなりたいものになれると信じています。それは私たちが一緒に立ち上がる時です。Dream and Believe。私は、より多くのダイバシティのために特に多くの黒人モデルが、ボード、映画、テレビコマーシャル、広告などで見られるように私たちのために戦っています。












記事全文は現在www.secretofdd.comのブログ(bio in line)に掲載されている。ダイバシティの解決はなかなか難しい。今年の3月に行ったSXSWでも多くの女性パネリストが相変わらず男女のダイバシティの議論になっていた。















広告の多様性について黒人モデルのハワードは「ブラック・ミラー」シリーズのオリジナル・ポストでは、絶えずユーザとして広告に砲撃されているにもかかわらず、黒人女性の姿が広告にはほとんど見られないと書いている。「ニューヨークのファッションウィークや他の有名なファッションイベントでは、黒人の女の子はほとんど見えない」とハワードは書いている。














人種や性別に焦点が当てられがちだがダイバシティは人種、国籍、文化、風土、宗教、障害、性別、性的指向、年齢、既婚、独身、部門、業界などのほか、個人や集団の間で違いを生み出す可能性のある、あらゆる要素を考慮している。















http://secretofdd.com/
https://www.fastcocreate.com/


2016年12月9日金曜日

チョコレート「加加阿365祇園店」の本来グローバルな商品をローカルで作る手法は、モスバーガーにも似たブランディングのうまさだ。


















高級チョコレートの市場はいつでもチャンスがあるようだ。「お濃茶ラングドシャ」でヒットを飛ばしたマールブランシュが今年4月、閑静な祇園の一角にオープンした「加加阿365祇園店」に行って来た。


















こちらで限定販売している『加加阿365』は、365日違った紋をあしらっている斬新なコンセプトのチョコレート。当日購入できるのは、その日の紋のみなので、商品との出会いはまさに一期一会と思わせる。

















舞妓さんを形取った「ちょこっとエクレア」や、「お干菓子佇古礼糖」「加加阿焼き どら小判」など京都祇園ローカライズの巧みさ。「カカオでつくるヨーロッパ生まれのお菓子チョコレートを京都で育てるとしたら」と書かれているのはなるほどと思わせる。















グローバルなプロダクトをローカルで作る手法は、たとえは悪いがモスバーガーにも似ている。一年365日全てを京都の流儀で楽しむ「加加阿のある暮らし」というところも京都ブランディングのうまさだ。丸い茄子を賀茂茄子と名付ける京野菜なみの見事なブランディングだ。世界の「本物」を京都の「ほんまもん」にしてお届けします。というコピーも上手すぎて少々呆れる。



















































http://www.malebranche.co.jp/store/95/