2014年5月7日水曜日

ワイデン&ケネディのジョン・ジェイはブランディングの秘訣は「真実を告げること」と語る。

”伝説のクリエイター、ワイデン+ケネディのジョン C ジェイから、「これからの若いデザイナー達へ10のレッスン」”というなぜか?人気のあるブログ記事がある。
http://sakainaoki.blogspot.jp/2011/04/c-10.html

雑誌PENの”ジョン・ジェイ(2004.09.15)”から、ナイキなどを手がけるアメリカの広告会社「ワイデン&ケネディ(以下W+K)」にジョン・ジェイというクリエイティブ・ディレクターがいる。オハイオ生れの中国系アメリカ人で、W+Kの経営者の一人。1998年に日本にやって来て、ワイデン&ケネディ・ジャパンを設立した。もっとも、僕が彼と初めて会ったのは1991年頃。なぜかデザインの趣味が合い、2004年当時は毎月のように会って一緒に遊んでいた。















一般的に外資系広告会社は日本に進出した海外企業を顧客にすることが多いが、W+Kジャパンはちょっと違う。顧客の大半が日本企業で、日本国内向けの広告を制作しているのだ。50人ほどいるスタッフも全員バイリンガルの日本人クリエイター。日本の文化や企業を理解した上で、アメリカ流の広告デザインができるのが彼らの独自性であり強みだ。
ジョン・ジェイに広告制作の過程で最も重視しているのは何か、と尋ねたところ「意志決定者に直接話を聞くことだ」と答えてくれた。現場の担当者ではなく、最終的な意志決定者(社長など)と直接話をすることで、その企業にとって何が大切な問題かが明確になり、問題意識も共有できるという。たとえば1998年に流されたユニクロのテレビCM制作の時は、柳井社長とジョンが繰り返し会って「カジュアルとは?」をテーマに徹底的に議論したそうだ。

その結果、「カジュアルはみんなのもの」「金額は下げてもクオリティーは高いブランド」というユニクロ独自のコンセプトが定まった。ジョンのように真剣なパーソナリティをもった人物から、禅問答のように繰り返し問われたら、どんな企業でも自らのアイデンティティを突き詰めて考えないわけにはいかないだろう。

ジョン・ジェイの広告デザインの特徴は「ドキュメンタリー・タッチ」。有名人に頼らずに、無名の人を使って心に残る広告を作る名人だ。たとえば、ユニクロのCMは固定カメラの前にいる人に「あなたのスタイルを教えてください」とテリー伊藤が問いかけるものだった。(彼の声はCMには出ない)今、テレビで流れている「公文」のCMは、ザ・ビートルズの『ハロー・グッドバイ』をバックに、子どもたちの生の声を拾いあげたもの。昨年の企業好感度調査で、突然、「公文」がトップ20にランクインしたが、ジョン・ジェイの作った企業広告が大きく影響したことは間違いない。

なぜ、ジョン・ジェイはドキュメンタリー・タッチにこだわるのか。それは、現代が小説や映画のようなフィクションよりも、スポーツやニュースなどのほうが「信じられないこと、奇跡のようなこと」が起きる時代だからかもしれない。ドキュメンタリー広告は作り話に飽きた人にも共感できるし、なによりも自分の姿を投影しやすい。

ジョン・ジェイはブランディングの秘訣は「真実を告げること」と語っている。単なる表面的なイメージを作り上げ、伝達するのではなく、その企業の真実の姿を広告で表現する。真実の姿が伝わった時、消費者の企業を見る目は確実に変わることを、ジョンは知っているのだ。
http://wktokyo.jp/

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