先月後半パリに10日間滞在した。最高気温42.5。欧州全土が猛烈な熱波に覆われている。6月はフランス、チェコ、スイスなど8カ国の気温が過去最高を記録し、フランスでは45.9度を観測していた。今回の熱波でも、パリの気温は42.5度に達した。
2012年、グリーンランドはすでに4000億トン以上の氷を失った。今年は2012年の記録は軽く超えるだろう。今回のような熱波は欧州の新たな常態になりつつある。フランスの気象庁も、二酸化炭素の排出を大幅に削減しなければ、これまで以上に頻繁に熱波に見舞われ、厳しさも増すと警告している。
欧州の都市の多くは、これほどの猛暑を想定した設計になっていない。2017年の報告によると、欧州でエアコンの設備がある世帯は5%に満たない。ちなみに日本のエアコン普及率は二人以上世帯で90.9%だ。さすがにホテルはエアコンが効いているが、マレ地区周辺のカフェやバーなどはドアも窓も全開の状態で、皆平然とビールなどを飲んでいる。
今回の旅行の目的は美術館や博物館の見学が中心だったが、この異常気象のパリは私にとっては貴重な体験で、日本のように世界標準を遙かに上回る異常に快適な空間を当たり前のように暮らしてきたことも考えさせられた。
5区にあるパリ植物園をはじめ、温室、動物園、そしていくつかの博物館(ギャラリー)からなる組織が、国立自然史博物館(Muséum national d’Histoire naturelle)で、オーステルリッツ駅側の入り口寄りにある「比較解剖学と古生物学のギャラリー」と、モスケ・ド・パリ側の入り口からすぐの「進化大ギャラリー」だ。
実は、この博物館も体温超えの室温にもかかわらずエアコンがなかった。この日はあまりにも高温で二階は入室禁止となっていた。