ある勉強会で西畠清順が、質問者から「その地で生きている植物を人間が移動させるのは自然に反しているのではないか?」と聞かれた。そのときの彼の答えは、「植物は移動したがっているんです。椰子の実もそうでしょう。」と答えた。なかなか面白い問答だった。人々は根の張った植物を強く意識して、種子のことは意識をしない。
台風などで海に落下した椰子の実は海流に乗って遠くまで流れ着き、その地で成長してゆく。植物の種子は実にさまざまな方法で遠方まで仲間を増やそうとする。時には動物などのチカラを使ったり、風や水など自然の力を使ったりしながら生き抜き移動する。ケヤキは複数の種子がついた枝ごと風に乗る。何枚かついた葉が翼の代わりなり飛行していく。
翼果(よくか)とは、果皮の一部分が変化して翼のようになったものをいいます。タケコプターのようにくるくると回転し、より遠くに飛んでいく。海辺に生えるタコノキ。パイナップルのような部分が種子で、海水に浮き遠くまで行ける。雨などの水滴を利用して散布される。ネコノメソウはおわんのようになっている裂開した果実の中に種子がはいっていて、雨水があたるとその衝撃で種が飛ぶ。
また動物が果肉を食べ、移動した先で種子をフンとして排泄される。動物の移動距離がそのまま種の移動距離となる。りんごなどの果樹はこのパターンが多い。鳥が多いが、タヌキなど一部他の動物もこの方法で種を運んでいることがある。
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