「シン・ニホン」、「アフターデジタル」「FACT FULNESS」などデータを重視した本が最近よく売れてAmazonの上位を独占している。中でも[シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)]を読んだとき、ほとんどのページにデータが着いている。あ、データで本が作れるんだという率直な驚きだ。時代はAI×データに向かっていることの現れだ。
沈みゆく日本がここから逆転するには、コロナ禍という未曽有の状況において、改めて日本が世界で存在感を発揮するためにAIこそが必要だと、『シン・ニホン』を著した安宅 和人氏は語った。実は昨日SFCでもお互いに教授同士として何回かお目に掛かっていた安宅さんとチャットをした。
米国・中国を筆頭に世界で過熱するAI開発競争の中、日本の存在感は薄れる一方だ。しかし新型コロナが日本のデジタル化の遅れを露呈した。しかしどん底まで行ったニホンは強いと私は信じている。「このままでは日本は沈み続けます。しかし、今すぐAI-Ready化すれば形勢逆転は可能です」AI(人工知能)を有効かつ安全に利用できる社会を構築する「AI-Readyな社会」。
そこでは人間に期待される能力や役割が大きく変化していく可能性がある。2020年2月には“データ×AI”で日本の再生を展望する著書『シン・ニホン』を上梓。「このままでは日本の沈下は止まらない。それを防ぐためにデータとAIを空気のように利活用する状況に脱皮すべき」というのが同氏の主張だ。新型コロナウイルス感染拡大は、デジタル化が進展していない日本社会の現実を露呈したと安宅氏は続ける。
たとえば、多くの企業ではリモートワークが想定できておらず会議室にもデジタルにつながる設備が用意されていなかった。また、情報がFAXやPDF文書でしか集まらず、上司の承認には印鑑が要るという日本特有の課題も浮き彫りとなった。
安宅氏は「人間の判断の裏側でデータやAIを利活用し、自動化を推進できる時代が来ているのに、日本の組織の多くはまったく活用できていません」と嘆くとともに、「新型コロナウイルスの第二波、第三波に備えるためにも、データ×AIで“withコロナ社会”の形成を考える必要があります」と訴える。
同氏が整理し、2016年に経産省の産構審で投げ込まれた「データ×AI化による産業化の大局観」によると、今後は大きく3つのフェーズによって展開されるという。まずPhaseⅠで“データ×AI化”が進展し、PhaseⅡではその二次的応用が進み、PhaseⅢになって、それらが互いにつながりあってインテリジェンスネット化し独自のエコシステムを形成していく。
この世の中は現在、PhaseⅠの終わりぐらいにいるという。 ヤフージャパン CSO 安宅 和人氏 2020年7月、DataRobot主催「AI Experience Virtual Conference」の講演に登壇した安宅和人氏はこう語った。
慶應義塾大学SFC 環境情報学部教授であり、ヤフーでCSO(Chief Strategy Officer)を務める同氏は、かねてより日本のAI人材不足を危惧してきた。一般社団法人データサイエンティスト協会を立ち上げ、スキルセット策定に寄与する一方で、さまざまなAI×データ系の公職も務めている。 https://amzn.to/34asLRU