先日Twitterが縁で知り合ったグラフィックデザイナーの田中千絵さんデザインされた二種類のお箸を頂いた。おじはグラフィック界のスーパースター故田中一光さん、無くなる直前にほぼ立方体で出来た陶器の「お茶に使う水入れ」を購入した偶然もあった。(画像上が中国のお箸、下が日本のお箸)
千絵さんがオフィスに遊びに来られた時、まずお見えになった時の一言「桃太郎のお話みたいな感じで訪問メンバーが4人となりました。坂井さんのところは鬼が島ではありませんが!」(笑)。桃太郎チームのメンバーとは「日蝕」で芥川賞を獲った「平野啓一郎さん」、田中さんのご主人で、アメリカのCGの祭典SIGGRAPHなどで常連入賞者のCGアーティストの「森野和馬さん」。そして「井植洋さん」と豪華な顔ぶれになった。こうして若く優秀なクリエイターの皆さんが、色々なご縁で毎週のように遊びに来てくれるのは嬉しいことだ。帰り際に千絵さんがデザインされた『日本の伝統色のお箸と中国の伝統色のお箸』を頂いた。伝統色を用いたグッズ・アイディアを10人のクリエータが魅せる『COLOR OF 10』に出展し、投票結果第1位をとった秀作だ。
(以前PEN「デザインのたくらみ」に書いた箸の話)
地球の箸食文化圏は世界人口の28%で、中国を中心に広がっている。2本の棒という基本デザインは共通だが、お国柄によって差違も多い。
たとえば本家の中国と日本の箸では形状が違う。中国の箸は主人が料理を取り分ける「取り箸」としてスプーンと一緒に使うためか、頭から先までほぼ同じ太さの「寸胴型」。一方、日本の箸はもっぱら個人用で「つかむ」「切る」「ほぐす」などの多彩な作業をこなせるように「先細り型」になったと考えられる。
考えてみると、欧米の食道具は刺すのはフォーク、掬うのはスプーン、切るのはナイフとすべて単機能である。しかし日本の箸は、ありとあらゆる作業をたった2本の棒で行う。シンプルな形でありながらこれほど多機能な食道具はない。いわば箸は指の機能を拡張する道具であるが、正しい持ち方を修得しなければ十分に使いこなせない道具でもある。箸そのもの自体が美しいオブジェであることはもちろんだが、それを持つ人間の仕種と一体化することで、さらに輝いて見える道具だ。
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