2010年10月16日土曜日

コルビジェは建築全体と身体のバランスを対比できる定規モジュロールを自分で作った。

モジュロールとロンシャンの礼拝堂
建築家のル・コルビジェは、整数比、黄金比、フィボナッチ数列などを組み合わせからなる、美しい比率尺度「モジュロール」を完成した。Modulorは、フランス語のmodule(モジュール・寸法)とSection d'or(黄金分割)から作ったル・コルビュジエによる造語だ。モジュロールは人体各部の寸法にもとづいたものであり、建物の形状を整えるために考案されたもの。コルビジェは建築の設計に、このモジュロールを多く使った。つまりコルビジェは建築全体と身体のバランスを対比できる定規を自分で作った。


基本的には、身長183cmの人が立って片手を挙げた時の指先までの高さ226cmを黄金比で割り込んで行く、という方式だ。これがモデュロール身体であり、ル・コルビュジエが考えだした建築の寸法を決める定規の根拠。今の日本人の学生であれば何人かに一人はいそうなサイズだ。ル・コルビュジエはモデュロールのことを「建築や、その他の機械の設計に普遍的に適用できる、人体の寸法に合わせて調和した寸法の範囲」と評している。つまり人間工学(人間が可能な限り自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計し、実際のデザインに活かす)とほぼ同義ともとれる。ル・コルビュジエは実際にモデュロールを用いて数々の設計をした。ロンシャンの礼拝堂の窓配置、ラ・トゥーレット修道院におけるブリーズ・ソレイユなどのプロポーショナル・レイアウトがその応用例。また、世界中の建築家にも大きな影響を与え、日本でも、丹下健三が日本版のモデュロールを作成している。

@TONARIさんのコメントが面白い。
フィボナッチ数列は、開き扉などで現実に見られそうな尺度であるし、らせんには必要不可欠だから、彼がそこに到達したことは理解ができそうです。また彼の作品になんとなく日本を感じることがありますが、折り紙をする日本人には幾何学的な感覚が自然に備わっていて、それでフィボナッチ数列が随所に隠されているのではないかという気がしてきます。折り紙なども複雑なものではらせんを構成しますが、やはりフィボナッチ数列が隠されているのでしょう。



1 件のコメント:

  1. コメントしたときには、実はあんまり考えていなかったのですが、今回は少し真面目にモデュロールを見て考えました。
    頭から足底、それを1:1.6に分割したとき臍がその部位に位置すると良いというのは知っていました。でも手を伸ばしたときに1.6:1.6になる(!)という発想がこのモデュロールの「肝」なんですね。
    2個ずつ同じサイズの尺を並べて1:1:1.6:1.6:・・と並べていったときに奇妙な繰り返しが出現して、いつまでも見てしまいます。

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