2010年10月13日水曜日

ウォーホルが好んで靴を作っていた「ベルルッティ」という靴屋には、盛装した紳士たちが集まる「ベルルッティの靴を磨く会」がある。



イタリアにルーツをもつフランスの「ベルルッティ」をはじめて知ったのは、パリに行ったとき、友人のアートコレクターのアラン・ベイユが「坂井はウォーホル好きだろう?」この近くにウォーホルが好んで靴を作っていた「ベルルッティ」という靴屋がある。行かないか?と誘われたのが初めてだった。初めて見たときの、「ベルルッティ」の靴の美しさは今も鮮明に覚えている。僕の知り合いが、今度日本の「ベルルッティ」に勤め始めた縁もあって、青山の「ベルルッティ」に時折訪ねて購買している。

パリの超一流ホテルで年1回、盛装した紳士たちが「ベルルッティの靴を磨く会」が開かれる。ホテル・ド・クリヨンで開催された会には約100人が参加した。まず靴談議に花を咲かせながらの贅沢(ぜいたく)なディナー。その後、別室に移り、履いていた靴を脱いで一斉に磨き始めた。ベルルッティの4代目当主オルガが席を回って指導する。「靴を磨きなさい、そして自分を磨きなさい」。少しマゾっぽい言葉にも素直にうなずいて、数時間も磨き続ける紳士たちの、ベルルッティへの傾倒ぶりがうかがえる。

イタリア生まれのオルガは彩色技術を工夫、「パティーヌ」と名付けられた深みのある色彩表現で人気を得た。紳士靴には禁断の色だった緑や黄の靴も作り、映画監督のトリュフォーやポランスキー、アンディ・ウォーホルらが熱心な顧客になった。ウォーホルはイヴ・サンローランに連れられて工房を訪ね、若いオルガの感性を見抜いてその場で靴を注文。死ぬ間際にも修理を依頼している。

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