2010年10月5日火曜日

スタルクは「私がデザインしたもの全ては不必要だった。2年以内には確実にリタイアし、何か他のことをやりたい。まだそれが何かはわからないけど。自分を表現する別の手段を見つけたい。デザインとは、忌むべき表現形式だ」とコメント。



2008328日の記事が反響を呼んだ。デザイナーのフィリップ・スタルク(Philippe Starck)が、デザインの仕事に嫌気が差し、2年以内にリタイアする予定だと、27日付けの独週刊紙「ツァイト(Die Zeit)」のインタビューで明かした。スタルクは「私がデザインしたもの全ては不必要だった。2年以内には確実にリタイアし、何か他のことをやりたい。まだそれが何かはわからないけど。自分を表現する別の手段を見つけたい。デザインとは、忌むべき表現形式だ」とコメント。
「今後デザイナーはいなくなるだろう。将来のデザイナーは、パーソナルコーチや、ジムのトレーナー、ダイエットコンサルタントになるんだよ」スタルクは、ホテルのインテリアやユーロスター(Eurostar)の内装、椅子、レモン搾り器など、幅広いデザインを手掛け、世界中で高い評価を得てきた。スタルクが現在唯一愛着を持っているものは「枕と、良いマットレスかな」とのこと。しかし、最も必要なことは「愛すること」だと付け加えた。
記事ソース:AFPhttp://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2370831/2782335

スタルクが、「デザインの仕事に嫌気が差し、2年以内にリタイアする予定だ」とインタビューで語ったことは衝撃だった。80年代、わたしたちはスタルクの登場に驚いたものでした。某ビール会社のビルのプレゼン手法などは、誠に軽妙で鮮やかだった。僕はその数年後にそのときのプレゼン内容を詳しくスタルクからフランス語なまりの強い英語で聞いたことがある。さてその後も相変わらずスタルクは精力的にデザインを量産している。あの「デザインとは、忌むべき表現形式だ」との発言はどこにいったのだろうか?本人に会って聞いて見たいくらいだ。僕のように更年期障害に陥って矛盾した発言をしたのに過ぎないのか?あるいは近々本当にリタイアするのか?誰もわからない。

先日の「高城剛さんの「クリエイションが職業である時代は終わる」と。一番かっこ悪いのは、広告をつくったり、デザインしたりすることだよね。お金をかけずに付加価値を倍増させるような、僕がもっとも得意なところ(笑)。余計なモノ売るのが恥ずかしい時代に、それを手伝うのはもっと恥ずかしい。今後はあらゆるクリエイションについて、それがいえるわけ。」のブログは大反響を受けコメント返しに苦労した。今度はスタルクが言葉の表現は若干違うモノの、極めて近い趣旨の発言を行っている。偶然とは思えない。皆さんはどう考えますか?

2008年のインタビューの最後にスタルクが現在唯一愛着を持っているものは「枕と、良いマットレスだよ。」と言っていた。と思っていたら2009年の春「ホテルママ・シェルター・パリ」がオープン。もちろんデザインはスタルク。172室ある客室は快適かつ官能的で、サテン仕上げのコットン100%のシーツを敷いた5つ星ホテル並みのベッドが備えられ、まるで癒しの隠れ家のよう。電子レンジ、ミニバー、25インチのiMac(テレビ、ラジオ、CD/DVD、インターネット、無料無線LAN)、仕事をしたりラブ・レターを書くための机、機能的でエレガントなバス・ルームのほか、スタルクが自分自身が欲しい設備を全部揃えたようなものだ。

HOTEL MAMA SHELTER PARIS
109 Rue de Bagnolet, 75020 Paris
www.mamashelter.com

記事ソース:http://www.globecompetition.co.jp/dv/dv_013_090327_0.htm

3 件のコメント:

  1. 坂井直樹様
    スタルクも高城も「デザインの終焉」を宣言した!
    2000年に「構想大学デザイン学部」(プレジデント社刊)という本で予告した通り、誰でもデザイナーの次代になったら、今までのデザイナーという職業家と領域は必要がなくなった。車も携帯も、モノを売るためのポスターも新聞広告も。必然的に社内ID会社も、電通もいらない。デザインはどこへ行くのか、デザイナーは誰なのか。一度話し合って未来を提示する義務があるのではないか。デザインという仮想作業で飯を食ってきた我々の世代の責務ではないか。
    大和にて 横井

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  2. デザインの概念も領域も広がって、再定義が必要ですね。一度整理してみたいと思っています。今年のグッドデザイン賞に、アイドルユニット「AKB48」もベスト15を受賞しましたね。総評は以下にあります。が、どう「思われますか?

    ファンとのコミュニケーションを最大限に活用したアイドル、「AKB選抜総選挙」など社会を巻き込むプロジェクトの拡大、姉妹ユニットSKE48、NMB48の登場などが、社会に非常に大きなインパクトを与えたとのこと。ジャパニーズポップカルチャーをグローバルなエンターテインメントビジネスとして成立させる可能性を感じさせるプロジェクトデザインと評価された。

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  3. AKB48のグッドデザイン受賞は面白くて、グッドデザイン賞のPRに役立っていますね。深澤委員長が「グッドはわからないが感じるものである」という趣旨の発言をしていますが、デザインをグッド・バッドだけでは捉えない、何をどのようにどのぐらい感じるかを追求すれば感性工学に至ります。
    一方AKB48のプロジェクトデザインを評価するのであれば、政策デザインやDNAのデザイン、経営デザインはどうなるのか、坂井さんが言うように領域の整理が必要ですね。
    狭義と広義にデザインを分類するのがよいのか、あるいはデザインという言葉の概念をそろそろ違うステージに変えるのか、デザイナーだけではない人たちが参加して、方向付けをすることが、新しいジャンルを生むことになるのではないかと思っています。

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