2015年8月30日日曜日

浮世絵には禁令で描いてはいけないものが決められていた当時、メッセージをコードの中に埋め込んで隠した。ただ浮世絵の制作側の人々のコミュニティーだけに解る「浮世絵コード」を埋め込んで、鬱憤晴らしをしていたのだ。

浮世絵にはコード(暗号)が埋め込まれている。「浮世絵コード」という興味深い話を牧野健太郎さんから聞いた。牧野さんはNHKプロモーションの役員で、ボストン美術館との浮世絵デジタルプロジェクト・プロデューサーでもある。以下受け売りである。

浮世絵には禁令で描いてはいけないものが決められていた当時、メッセージをコードの中に埋め込んで隠した。ただ浮世絵の制作側の人々のコミュニティーだけに解る暗号を埋め込んで、鬱憤晴らしをしていたのだ。

































魚、橋、市場、舟、波、ネコ、亀、着物や建具の模様など、浮世絵のなかで一見ごく自然に描かれているモノやコトの中には、江戸時代ならではの下町人情あふれる江戸の町人文化、風俗、社会を読み取るコードが多く見られる。これらの意味を帯びていて秘められた「暗号」を読み解く(デコード)必要がある。

広重の江戸百の「浅草田圃 酉の町詣」を事例に伺ったことを思い出しながら暗号を解読してみる。まず絵の改印は安政四年十一月で、お酉さまの月にあたる。鷲神社は新吉原の裏手にあり、絵では遠景に草田圃酉の町の賑わいを、近景に新吉原の遊女の部屋を描いている。

新吉原で富士山が見える部屋は西向きの部屋だ。西の端に位置する台東区千束三丁目ということまでわかる。ここでお酉さまを眺める猫は遊女のメタファーだ。屏風の裏が見えているので、その向こうにはネコの飼い主の遊女がいるはずだ。

熊手のかんざしは、福(客)を取り込めるという意味になる。この手ぬぐいも文様から、どこの旦那かがわかるという趣向になっている。猫を描いたのはこの時期遊女を描くのタブーであったからで猫自体もコードと言える。

ただ美しいなあと思って見る浮世絵鑑賞も良いのだが、当時の江戸の人々の好奇心や洒落を読み解いて(デコード)して楽しむことも良い。
謎解き 広重「江戸百」を参照した。


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