2010年12月23日木曜日

「soul of the game」のストリート・アスリートの美しい肉体と、人工的に肉体改造(デザイン)された三島由紀夫の肉体から思うこと。

この本のタイトルは「soul of the game」、写真家はJohn Huet、素晴らしい写真集です。この英文は、「今日のプロバスケットプレイヤーの多くは、すごいことに25年前のハーレムの校庭から生まれた。」と言うくらいの意味でしょうか。ナイキの広告で有名なワイデン&ケネディーのCEOジョン・ジェイから頂いたストリート・アスリートの写真集「soul of the game」の一頁からの写真だ。

この本は、印刷も複雑なセピア色を何色か重ねて出していて綺麗な本で、素晴らしい賞も多く受賞している。ともあれ運動で自然に鍛えられた体が美しい、どんな服を着るよりも美しい肉体だ。
soul of the game









































しかし、「美しい肉体」というと、どうしても三島由紀夫を思い出す。彼のように知的水準も美意識も高い男が、本来虚弱な肉体を「プロテインとボディビル」という技術を使い、人工的に肉体を改造(デザイン)した。その彼のマッチョな肉体が、今度は勝手にマッチョな思考を始め(僕自身の感覚)、最後には自衛隊市ヶ谷駐屯地の総監室を訪れ、ついには部屋の前のバルコニーで演説しクーデターを促し、自衛隊員から野次罵声を浴びた。そして約一時間後に割腹自殺を遂げた。
写真集『薔薇刑』のモデルの三島
































THE LIFE OF YUKIO MISHIMA :::三島由紀夫:::
この動画に写る三島を見ると人間はかなり変わることが出来る「可能性」と同時に「限界」を考えてしまう。僕もほぼ毎日のようにウエイトトレーニングを行っているが、筋肉が思考を始めない程度に適度な重さのウエイトしか持ち上げないように自重している。

このYoutubeでの静止画で構成された動画「THE LIFE OF YUKIO MISHIMA :::三島由紀夫:::」の中には、幼い頃の賢いが虚弱体質の三島の姿から、現都知事のかつての凛々しい姿と一緒に写っている写真、軍服姿の三島、あるいは逞しい肉体を誇示する写真家細江英公の写真集『薔薇刑』のモデルまで、あらゆる顔の三島を見ることが出来る。

4 件のコメント:

  1. 三島のこの動画はじめてです。

    「私は詩人だと自分を考えるが、もしかしたら、詩そのものかもしれない」
    という三島の言葉を聞いて、ナルシズムを越えた自己愛障害にまで行っているのかなって思っている。

    それと、本多勝一が三島の自決後「定向進化」という言葉で評していたのが鮮やかであった。つまり、サーベル・タイガーの牙のように、いったん始まった進化はタイガーの体を刺し貫こうと止まない。

    ボクはいつもこの2つの掛け算のなかで、三島由紀夫を捉えている。

    twitter@hhoshiba

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  2. 坂井さんが「自重」と仰る言葉を、、
    たいへん重く受け止めました。

    私は頭でっかちですから、「脳が勝手に暴走すること」もやはり
    危険と思い控えているきらいがあるからです。

    きのうドナルド・キーンさんが、三島さん自身が自分の文学に登場させた料理の名前やら着物の柄の意味を全く知らずに「字面、響きの美しさ」を基準にいわゆる「コピペ」していたと、面白いエピソードをラジオで語っておられるのを聞いたのとは全く対照的なエピソードで驚かされます。。。

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  3. hhoshibaさん、コメントありがとう!「サーベル・タイガーの牙のように、いったん始まった進化はタイガーの体を刺し貫こうと止まない。」は痛烈ですね。

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  4. kunioさん、コメントありがとう!「三島さん自身が自分の文学に登場させた料理の名前やら着物の柄の意味を全く知らずに「字面、響きの美しさ」を基準にいわゆる「コピペ」していた。」は、やはり文系の天才だったんですね。

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