1969年当時のSanFrancisco |
●グッドデザインとバッドデザイン
田中浩也:私はFabLabやパーソナルファブリケーションと呼ばれる、「ものづくりを人々の手に取り戻そう」という活動をしていますが、パーソナルファブリケーションの思想的な源流のひとつは、スチュアート・ブランドの制作した『ホールアースカタログ』にあると言われています。
『ホールアースカタログ』はヒッピー向けの雑誌でしたが、坂井さんはちょうどそれがアメリカで発行された頃に、実際に現地にいらっしゃったかと思います。当時はどんな状況だったのでしょうか。
坂井直樹:僕がアメリカに行ったのは60年代のことでしたが、当時はゲイレボリューション、ブラックパワーといった、マイノリティを解放しようと、若者たちによる、僕たちが社会を変えるんだみたいな活動が盛んで、世の中が本当に変わるんだと思いましたね。
当時、僕は京都で出会ったヒッピーの知り合いを訪ねてヒッピーたちが集まっていたサンフランシスコに行ったんです。もともと僕は日本では京都芸大に通っていたんだけれど、当時の京都は今とは全然雰囲気が違って、いわゆる反体制の外国人がたくさんいたんですよ。
その中にはヒッピーたちもいて、彼らと交流しているうちに、「バッドデザイン」にすっかりはまってしまったんです。おかげで、大学で教えられているような「グッドデザイン」やメインストリームのデザインには全く馴染めずに、一年半で大学を辞めてしまった。
『x-DESIGN / 未来をプロトタイピングするために』から
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