2020年5月19日火曜日

中川政七商店の会長・中川政七さんとの対談はビジョンドリブン経営「好奇心とイノベーション」から

第7回は、中川政七商店の会長・中川政七さんとの対談です。 創業 300 年の歴史がある麻織物の老舗で、日本初の工芸をベー スにした SPA 業態を確立させ、各地の工芸メーカーの経営コン サルティングも行ってきた中川さん。工芸の未来や、継続する 企業のビジョンについて語り合います。















300年の老舗が見据える、ものづくりと事業のありかたとは?
”工芸と工業が混じりあったところにある、心地よさ”

坂井: 中川政七商店さんは、伝統のある会社ながら今もメディアで頻繁に取り上げられています。その理由はなんだと思われますか?

中川 :かつては工芸メーカーのコンサルティング事業が注目されていたので、外からの見え方は、「立て直している会社」だったのですが、最近は、「ビジョンに基づく経営が上手 く行っている会社」という視点で取材を受けることが増えました。

坂井: ビジョンドリブン経営ですか。

中川 :はい。商品コンセプトや、ブランドコンセプトのエッジが効いていて、売れている企業でも、その上にある「会社のビジョンって何か?」といったら、生活者はもう思い出せないんです。よく読むとビジョンにいいことは書いてあるんですけれど、商品やブラン ドに結び付いていないことが多い。ビジョンとすべての事業がつながっていること。これはとても大切です。さらにはビジョンに立ち返ることで、いろんな事業アイデアも生まれてくるはずです。

会社のビジョンに必要なものは 3つあります。 1つ目はパッション。そもそもパッショ ンがないとビジョンは生まれません。 2つ目はロジック。ビジョンがあっても、事業につ ながるようにきれいに体系立っていないといけない。一方で商売だから、勝たなくてはい けません。ですから 3つ目はストラテジーです。 3つそろわないと、いいビジョンを掲げ たところで、ワークしません。言っているだけで、やっていることが違う、という話にな ります。おかげさまで僕らが事業を継続してこられた最大の理由は、「日本の工芸を元気 にする!」というビジョンが定まっていることと、そこに向けて愚直にやって来たことだ と思うんですね。逆にビジョンに繋がらないことは、基本的にはやりません。

坂井 :中川さんのお店には暮らしに合わせてアップデートされた商品がいっぱいあると思いますけれど、工芸品って、いまだに国によって色とか形とか、共通するイメージもあるように思います。中国の工芸品だったら、赤とか金とか、龍みたいな文字しか出てこなくて、急にお土産屋っぽくなったりして。一方で、京都のようなエリアのブランドの展開も ありますね。京野菜とか、京あめとか。何でも「京」をつけるのは、僕はインチキっぽい 気がしてしょうがないのだけれど。
続きは「好奇心とイノベーション」














中川政七
中川政七商店 代表取締役会長

1974 年奈良県生まれ。京都大学法学部卒 業後、2002 年に中川政七商店に入社し、 2008 年代表取締役社長に就任。業界初の SPA モデルを構築。「遊 中川」「中川政七 商店」「日本市」など、工芸品をベースに した雑貨の自社ブランドを確立し、全国に 50 以上の直営店を展開。また、2009 年よ り業界特化型の経営コンサルティング事業 を開始し、日本各地の企業の経営再建に尽 力。2016 年 11 月、同社創業 300 周年を機 に十三代中川政七を襲名。2017 年には全国 の工芸産地の存続を目的に「産地の一番星」 が集う「日本工芸産地協会」を発足させる。 2018 年より会長職。


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