2013年1月6日日曜日

ボトルに音を閉じ込め音楽を奏でる「Re: Sound Bottle」

藤原惇くんの卒業研究制作「Re:Sound Bottle」を紹介。彼は一度社会に出てから多摩美大に入った学生で、プロとして音楽の仕事などを経験し、もう一度大学でデザインを学ぼうと志した。この作品は未来の一流デザイナーを目指す学生の優れた卒業制作を表彰するコンペティション「MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD 2012」で今年、審査員の坂井直樹賞を受賞した。
Re: Sound Bottle from Jun Fujiwara on Vimeo.
この作品は環境音を採集して、それを素材としてもう一度音楽を作り出すという作品。ボトルの蓋の開け閉めによって空間に浮遊する音を捕まえ、ボトルを置いた状態で蓋を開けることで音楽として解き放ち、ボトルを振ることで採取した音を逃がす。人の自然な振る舞いをインターフェイスに取り入れることで誰もが自然に操作できる作品となっている。

そして何よりもこの作品の一番の特徴は自分で音楽を創り出すことの楽しみを感じさせる点だろう。 実際に「Re:Sound Bottle」を使うと誰もが楽しくなって、何度も自分で音楽を作りそれを人に聞かせたくなる。毎回審査のたびに、審査員の1人が試し始めると周りに他の審査員の方が集まってくる作品がある。「Re:Sound Bottle」もそんな作品のひとつだった。
作者のコメントにもあったように、感覚的な音との触れ合いにより生まれたコミュニケーション・メディアと言えるだろう。 また、石井裕教授の「Music Bottles」はタンジブルユーザーインターフェイスの世界を切り開いた作品として世界で高く評価されている。作者の藤原君も石井氏の作品のことは当然よく知っており、その研究を調べた上で自身の作品に取り組んだ。その結果「Re:Sound Bottle」は「Music Bottles」をリスペクトしながらも、まったく違う新しい作品として生まれた。しかもさらに機能も発展させ音を創り出す機能を加えることで、新たな側面を持つ作品となっていることが面白い。

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