大企業のデザインセンターから役員が出る企業は未だ10社に満たないだろう。「なぜ日本ではデザイナーの地位が上がらないのか?」というbtrax社の分析が面白い。
最近は海外を中心にエンジニアと共に、デザイナーの需要が高まっている。理由はシンプルで、プロダクトに加え、企業経営にとってデザイン思考やサービスデザインなど、
「デザイン」の言葉で表現されるマインドセットやスキルが求められているからだ。と説明されている。「デザイナーの待遇調査結果」で比較するとよくわかる。
デザイナーの待遇調査結果 (中間値による算出):
• 世界のデザイナー平均年収額は$91,000
• アメリカのデザイナー平均年収額は$99,000
• カリフォルニア州のデザイナー平均年収額は$128,000
• アメリカ国内デザイナーの1週間の平均労働時間: 42
• 29歳以下のデザイナーの平均年収額は$71,000
• 30-50歳のデザイナーの平均年収額は$116,000
• 51歳-のデザイナーの平均年収額は$94,000
• 10年以上経験のあるデザイナーの平均年収額は$114,000
• 年間平均昇給額は$2,890
ある調査では、日本のグラフィックデザイナーの年収の平均値は300〜430万円。日本ではデザイナーに対して低い待遇になっていることがわかる。
その理由は、
【企業側の問題】
「デザインを上手にお金に変換できていない」
そもそもなぜアメリカ、特にカリフォルニア州でデザイナーの待遇が良いのか。答えは、
デザインをビジネスに最大限活用できているから。言い換えると、デザイナーの能力を経営側がビジネス=お金に変換することを知っているから。
「組織の中でデザイナーのポジションが確立されていない」
経営者がデザインの重要性を理解していない場合、企業の中でのデザイナーの立ち位置が非常に難しくなる。そうなってくると、デザイナーが経営の根幹に関わることは難しい。
参考:
時代の変化でこれから生まれる8のデザイナー職
「ユーザー体験を真剣に追求できていない」
冒頭のリサーチ結果からも分かる通り、最も待遇が良いデザイナー職の一つが”
UXデザイナー”である。正しいユーザー体験を設計するのが彼らの仕事だが、
プロダクトのサービス化が進むここ数年で、最も注目されているデザイナー職の一つと言える。つまりUXそのもがプロダクトだ。
【デザイナー側の問題】
時代とともに変化するデザイナーに求められるスキルや考え方に追いついていない。
「デザイナーに必要なのはスキルアップではなくスキルチェンジ」デザイナーは新しいスキルをどんどん導入していく必要がある。
参考:
【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる
日本のデザイナーは総じてスキルレベルが高い。これはおそらく世界的に見ても間違いなく、細部にまでこだわる事のできる日本のデザイナーの能力はもっと評価されるべき。その一方で、一般的なデザイン能力は高いが、他にまねのできないユニークな価値が提供できているケースはまだまだ少ない。
「価値のあるデザイン教育がされていない」
サンフランシスコの凄さの一つが、デザインスクールの数と質だろう。それも、最新のスキルを即戦力で使える人材が街にゴロゴロいる。これは、現役のデザイナーがビジネスとデザインの両方の側面で教えているのが理由。
以上btrax社のレポートを抜き書きし一部加筆してみた。
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筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
http://blog.btrax.com/jp/2018/05/29/designers-in-japan/