「ATCG」 と名付けられた40年以上もの付き合いのある芸術家アヅチ・シュウゾウ・ガリバーの艶っぽい作品。「巨大なスタンプはヌードの男女であり、ATCGは我々の精神のヌードである。」

彼自身による文章は一見難解だが「”性”〔生殖）の発見において、”不死性”と”進化のための機構と性の喜び”とを交換したのでは？」というのは、良く考えるとわかりやすい。イタリアのあるホテルにおかれた巨大なATCGのスタンプ､壁には赤と緑のインクで押された二種類のATCGのスタンプで押された生殖の痕跡が壁に見られる。

デュシャン並に難解なガリバーの作品だが、洒落ているし、艶っぽいベッドのシーツの乱れも男女の”性の喜び”もストレートに伝わってくる。ATCGとアートの関係を土曜日に考えてみるのも悪くない。ガリバーのいたづらを仕掛け準備する楽しそうな顔が浮かぶ。

巨大なスタンプはヌードの男女であり、ATCGは我々の精神のヌードである。今日の科学（生物学）において構想されている概念である遺伝子、”性”〔生殖〕は２つの個体による遺伝子の組み替えであり、より有効な組み合わせを獲得しようとする生物のサバイバルな試みであると理解される。”性”を持たない単細胞生物が、いわば不死であるのと異なり、有性生物の”性”〔生殖）の発見において、”不死性”と”進化のための機構と性の喜び”とを交換したのではないか、という生物学者もいる。