2018年7月20日金曜日

「デザイン経営」デザインへの投資を行う企業が、高いパ フォーマンスを発揮している事実。

企業のデザインセンターは、常に自らのチームの企業への貢献度の数値化に苦労してきた。営業部門や生産部門のパフォーマンスは比較的数値化しやすい。しかし、デザイン部門のパフォーマンスの数値化は難しく、私が知る限り存在しなかったが、British Design Councilによって実現した。さすがクールブリタニカを生み出した英国だ。

「 デザイン経営 」宣言 経済産業省・特許庁 2018.5.23 産業競争力とデザインを考える研究会の資料から

@「デザイン経営」の定義

「デザイン経営」とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営である。それは、デザインを重要な経営資源として活用し、ブランド力とイノベーション力を向上させる経営の姿である。アップル、ダイソン、良品計画、マツダ、メルカリ、AirbnbなどのBtoC企業のみならず、スリーエム、IBM のようなBtoB企
業も、デザインを企業の経営戦略の中心に据えており、「デザイン経営」の実践企業・成功企業ということが言える。

ここで、「デザイン経営」と呼ぶための必要条件は、以下の2点である。
① 経営チームにデザイン責任者がいること
② 事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
















デザイン責任者とは、製品・サービス・事業が顧客起点で考えられているかどうか、又はブランド形成に資するものであるかどうかを判断し、必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持つ者をいう。

デザインへの投資→金銭的投資(デザイン部門の予算増加など)および人的投資(組織改編・人材育成プログラムの充実など)を行う。

デザイン力の向上→デザインへの投資により、企業のデザイン力(市場ニーズを適切に捉え、必要な製品・体験を考案する能力)が強化される。

ブランド力向上・イノベーション創出→デザイン力の向上により、自社アセットを活かしながら、市場ニーズに合致した新製品・サービスを生み出すことが可能となる。
製品・サービスを顧客からのフィードバックを受けながら改良することで、イノベーションを創出し、ブランド力が向上する。

競争力の強化→生み出されたイノベーションやブランド力は、効果的にデザインされた顧客とのコミュケーションを通じて市場に波及し、企業に 収益をもたらす。

@デザインの投資効果

[4倍の利益]

[2.1 倍の成⻑]
デザインを重視する企業の株価は、S&P 500全体と比較して、10年間で2.1倍成⻑

[2.0 倍の成⻑]
デザイン賞に登場することの多い企業(166社)の株価は、市場平均(FTSE index )と比較し、10年間で約2倍成⻑
















「デザイン経営」は、 そのリターンに見合うだろうか。各国の調査は「YES」であることを示している。欧米ではデザインへの投資を行う企業パフォーマンスについての研究が行われている。それらはデザインへの投資を行う企業が、高いパ フォーマンスを発揮していることを示している。
例えば、British Design Councilは、デザインに投資すると、その4倍の利益を得られると発表した。また、Design Value Indexは、S&P500全体と比較して過去10年間で2.1倍成⻑したことを明らかにした。その他の調査を見ても、「デザイン経営」を行う会社は高い競争力を保っていることがわかる。これがデザインを取り巻く世界の常識となっている。一方、 日本の経営者がデザインに積極的に取り組んでいるとは言い難い。

(出典) British Design Council “The impact of Design on Stock Market Performance: An Analysis of UK Quoted Companies 1994- 2003, 2004を基に特許庁作成


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