1本1円にも満たない爪楊枝。お馴染みのチープな木製で、持ち手には溝が彫ってある使い捨てのイメージは、覆しようもない。今や「食」の世界でもデザイン性は欠かすことができない中、こうしたマイナスイメージの爪楊枝は、いかにも洒落ていない。
中世のヨーロッパでは、かつて爪楊枝が装飾品として流行したという。ごちそうをたらふく食べた貴族たちは、宝石がちりばめられた金の爪楊枝を使っていたのだ。古代からお守りとされていた角(つの)の代用として作られたといわれており、使用後に爪楊枝の先を収める金属のサヤも作られた。素材には金やエナメルや貴石が使われているため何度も繰り返し使うことができ、チェーンで首から下げて持ち歩くのがお洒落だった。
ちなみにぼくも以前、「現在の爪楊枝も同じように使えないものか?」と考えて、テレビ番組として1本100万円の爪楊枝を制作したことがある。従来ならば使い捨ての実用品でしかなかった爪楊枝を、「恰好よくシーハー」するという課題を設定したことで、贅沢な服飾品として捉えるというアプローチを生むことができた。続きは、、、、
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