2012年8月5日日曜日

国旗のデザインの由来は?

ロンドンオリンピックを見ていると世界中の204の国旗を見ることが出来る。僕は別にナショナリストではないが、単に「赤い丸」のデザインなのに「日の丸」は好きだ。オリンピックなどを見てもオリジナリティではピカイチだと前から思っていた。もっとも世界中の人が、自国の国旗が一番と思っているに違いないが…。僕は単純に「デザインモチーフ」として国旗を見ている。百科事典などで世界中の国旗を見て感じることは、なんと似たようなデザインが多いのかということ。
エチオピアの国旗
















たとえば青・白・赤で構成されるトリコロールカラーはフランスだけではなくオランダなどの8か国が採用している。また、エチオピアなどのアフリカ諸国は赤・黄・緑で構成されるラスタカラーを使うことが多い。































デザインが全く同じ国旗もある。モナコとインドネシアの国旗は上半分が赤、下半分が白。モナコでは赤と白は古くから王家の色として用いられてきた。インドネシアでは赤が自由と勇気を白が正義と純潔を示しているという。意味は全く違うのにデザインは同じ。国旗は単純化された色と形の組み合わせだから、バリエーションをつくるにも限界があるのだろう。
モナコとインドネシアの国旗は同じデザイン
















国旗というのは独立国家の象徴だから、最も重要なのは独自性と思いがちだ。しかし、実際には似たような旗が多い。それは独自性を主張する以上に、同じルーツを持つ近隣諸国との仲間意識や連帯意識を重要視しているということなのではないだろうか。たとえばユニオンジャックをデザインの一部に取り入れているオセアニア諸国は、独立してからも宗主国イギリスとの関係を切りたくないということなのかもしれない。
オーストラリアの国旗は宗主国のユニオンジャックが入っている







個人的な好みでデザインのいい国旗を選ばせてもらうと、日本のほかにはイギリスとスイスが気に入っている。ユニオンジャックは、国を構成するイングランド、スコットランド、アイルランドの守護聖人の十字印を4つ組み合わせるというコンセプトが面白い。また、スイスの正方形の赤地に白の十字は国旗デザインとしてだけでなくブランドマークとしても成立しているから好きだ。ここまでデザインが洗練されていれば、旗以外にも使えそうだ。たとえば自動車メーカーのロゴマークにあってもおかしくない。








僕は長いことデザインの仕事に携ってきたが、さすがに国旗をデザインする機会にはなかなか巡り会えない。もしも新しい国旗をデザインするチャンスがあるなら、その国の緯度と経度(つまり地球上のその国の位置)と、国土の形をデザインモチーフに使いたい。単純な色や形に意味を込める手法ではなく、緯度・経度・国土という、その国だけがもつ固有の情報を組み合わせ、唯一無二の国旗をデザインしてみたい。(PENに掲載された原稿を再編集した)

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