2017年9月28日木曜日

挑発的なシリーズの自動販売機の画像は、今日のエネルギー消費と消費者主義に関する社会的でシニカルなメッセージだ。


日本には現在約560万台の自動販売機があり、原子力発電所と同じくらい多くのエネルギーを消費している。 ドイツの写真家Benedikt Partenheimerによるshasinha 夜に撮影された自販機の存在は、私たちが作り出すマシンに対する本当の必要性と、消費者主義の傾向があまりにも遠くに行き渡っているかどうかを反映しているようだ。
http://www.fubiz.net/


















何が東京的な景観かを外国の友人に聞くと、大量に見る自動販売機を挙げることが多い(他には首都高、パチンコ、カプセルホテルなど)。確かに日本には約560万台以上の自販機が普及している。


















台数では世界一が米国だが、人口と国土の面積を勘案すると日本が世界一の普及となる。なかでも一番多いのは飲料の自販機。普及台数の約半数を占める。タバコの自販機はおなじみだが、駅の券売機も自販機であるし、カプセル・フィギュアが買える「ガチャガチャ」のように欲しい商品がなかなか買えないギャンブル性の高い自販機もある。


















10年ほど前に煙草の自販機のデザインを依頼されたことがあり、自販機の店舗としての構成要素とデザイン要素を観察したことがある。まず照明器具のように異様に明るい商品のディスプレイ(店頭)と光るスイッチ、看板(ポップ)、キャッシュ・レジスター機能、そして商品在庫の倉庫だ。そして時には、太い金属の鎖で固定されていたり、無秩序に何度も張られた新製品のキャンペーン・ステッカーというところか。


















自動販売機をデザインする上で考慮したのは、商品を売る会社にとっては「目立つこと」、買う人にとっては「商品が買いやすいこと」。そしてふつうに歩いたり住んでいる人にとっては「景観に配慮すること」。

10年くらい前に道からはみだした自販機が社会問題化し、機械自体がかなり薄くなった。また景観対応推奨色というのがあり、風致地区、住宅地区など「自販機と景観との調和を求められる地区」で導入され、京都などの観光地などでは使用されるコカコーラの自販機は茶色になっている。


















自販機の機構は、工場を見に行って解ったのだが、工業的にはかなりローテクで、ほとんどのタイプが庫内に保管している商品を重力で落下させて自販機の下にある取り出し口に送り出す仕組みだ。しかし、この方式では消費者が商品を取り出すのに腰をかがめなければならない。


















そこで、中間部に取り出し口をつけた機種も現れている。この場合は、タバコのように軽いものなら落ちてきた商品をバネの力を利用して取り出し口にパンッと跳ね上げたり、商品をベルトコンベアで取り出し口まで持ち上げたり、メーカー毎に工夫を凝らしているが、紀元前215年頃にエジプトのアレキサンドリアの寺院に置かれた聖水自販機が世界で最初の自販機といわれているが、その後さほどの進化がないのはなぜか?

変わった自販機としては、携帯電話の着メロ自販機、デジカメプリント自販機、缶入りおでん自販機、冷凍すし自販機、ギフトカード自販機、ごみ収集袋自販機、カップ式生ビール自販機などがあり、どこかドラえもんのどこでもドアのように十分に近未来だ。

また、流通システムから見る変種自販機としては、ストア・ベンダーがある。これは、店(自販機)と倉庫(自動倉庫)を組み合わせたもので、200種類以上の多様な商品を販売することができるミニコンビニ的な自販機だ、機械化と自動化が未来だとすれば、未来的なストアの一つのビジョンになるだろう。













自販機の進化が語られるとき、チームラボはJR東日本ウォータービジネス社とアキュアのスマホ対応自販機「イノベーション自販機」のプロダクトデザインのプロデュース、自販機サイネージアプリケーション企画・開発・デザイン、及び、「イノベーション自販機」連動スマートフォンアプリ「acure pass(アキュアパス)」の企画・デザイン・開発、プロモーション用動画及びWebサイト、オペレーターの業務フロー改善、ビジネスプランニングなどを担当した。

「イノベーション自販機」は、これまでにない“自販機での新しい価値体験を提案し続ける“をコンセプトとした最新型自販機。「イノベーション自販機」対応スマートフォンアプリ「acure pass(アキュアパス)」は、アプリで購入した商品を、通勤や通学で利用する駅の自販機で受け取れる新しいサービス / プラットフォーム。アプリを用いたまとめ買い/定期購入でお得に自販機を利用できる。















アプリに表示されるQRコードを自販機にかざすと、購入済の商品一覧が自販機に表示され、タッチして欲しい商品を受け取れる。商品がオンライン上にあることで、個人間の商品プレゼントや、アプリを通じた試飲キャンペーンなど、これまでの自販機にはない新しい体験や施策を可能にする。
https://www.team-lab.com/acurepass

このように決済のハイテク化が話題になることが多い。しかし、自販機の機械的な部分にもっとアイデアを注いでも面白そうだ。具体的には、ロボット技術との組み合わせである。たとえば最近登場したネイルアート自販機。簡易印刷機のような構造で、これは指を入れると爪に好みのペイントしてくれる。

出来上がった商品を販売するだけでなく、自販機の中で商品を組み立てるという発想があってもいい。超小型のオートメーション工場のようなデザインと機能を持った自販機である。たとえば腕時計を自分だけのデザインにカスタマイズしてくれたりするオンデマンドの自販機はどうだろうか。



0 件のコメント:

コメントを投稿