2020年5月30日土曜日

COVID-19が変えた人々の心の変化と極端な行動変容を調べてみた。



巨大企業の経営者であるビリオネア。この未曾有のCOVID-19危機に対して、どのような変革の行動を起こしたのか。 4月7日に自らの総資産の1/4以上にあたる10億ドルの新型ウイルス問題対策基金を設立すると発表し、大きな注目を集めた。個人の新型コロナウイルス対策の寄付として最大規模で、傘下の財団などではなく私財から拠出し、資金の元手がツイッター株ではないことなどが話題になった。10億ドルは、ドーシーが共同創業者兼CEOを務める決済サービス企業スクエア(Square)の株式でまかなわれる。
















ツイッターの経営手腕については批判も多かったドーシーは、スクエアのフィンテック事業では高い評価を得ており、今回の支援の裏付けにもなっている。すでに食糧支援組織アメリカズ・フード・ファンドに10万ドルが支払われた。なお、アメリカズ・フード・ファンドは4月5日、レオナルド・ディカプリオ、ローレン・パウエル・ジョブズ(故 スティーブ・ジョブズ夫人)、アップル、フォード財団の計1200万ドルの出資で設立された。

パンデミックに揺れる人々の心の変化のプロセスがステージ1からステージ5に分類されている。ステージ1:混乱・動揺、ステージ2:変化への対応、ステージ3:順応・適応、ステージ4:収束の兆し、ステージ5:収束後の生活へ。
















目に見えないウィルスに命を奪われる恐怖による心の揺れは案外無自覚な人が多いが確実にストレスとなり人々に意外な行動をとらせる。人々の感情は、ストレスや無力感などが強い日本に対し、米国では一旦ネガティブに振れた心情が徐々に通常に戻りつつある。まだパンデミックが終了したとは言えないのに。。

まず著名なビリオネアたちのCOVID-19のパンデミックでの行動や寄付先を分析した記事を読むと、なぜか合計2095人のビリオネアの多くはCOVID-19以降に寄付をしていない。レアケースの一つは桁違いの寄付を発表したのはツイッターとスクエアの共同創業者でCEO、ジャック・ドーシー。ビリオネアランキングでは804位だが、資産の1/4以上にあたる10億ドル(約1070億円)を新型コロナウイルスやほかの課題解決のために寄付すると約束した。

イーロン・マスクはパンデミック後、突然「住宅を所有しない」つもりであるとして、全ての住居を含むほぼ全ての持ち物を売却することを計画しているとツイートした。ウィリー・ウォンカ役で最も有名なジーン・ワイルダーの家で敷地約2700平方メートル、メーンの住宅は約260平方メートルだ。当時の売却希望価格は950万ドル(約10億2000万円)だった。




























私のビジネスパートナーは、ミッドタウンのマンションと、その近辺のオフィスも処分して日本の南の方にセミリタイアすると言い出した。ある友人はリモートワークの恩恵で家族ごと地方都市に移住を決めた。我々は引きこもりの間に、大変なストレスを受けたはずだが、まださほど自覚していないが、実は我々の心はまだ戦闘状態だと思う。

私における大きな心の変化は、一言で言うと「断捨離」だ。遺言状を書き弁護士に預けた。後二年の75才で代表を交代することも決めた。そしてCOVID-19の少し前に自動車の所有と運転をやめた。これは余計な人生のリスクを減らしたいという理由だ。そしてリモートワークが意外と効率が良いことに気がついた。














移動する時間のロスや、過剰な人との付き合いは少し減らと夜は4時間くらい、ランチでは2時間程度削減できる。いわゆる人生の省エネ運転だ。ZOOMでの「好奇心とイノベーション」の出版記念イベントが期待以上数のファンが集まってくれて手応えを感じた。私は本にも書いたが、もうコロナ以前の生活には戻らないと、今でも思う。











今回強く感じたのは、コロナに極端に弱い飲食業のようなビジネスには手を出さない。たとえ第二波が来ようが第三波が来ようが、負けない強いビジネスに業態変革をしたいと思った。簡単に言うと「非接触ビジネス」だ。映像や、書籍や、ファッションなどのコンテンツやプロダクトを自らが作り、特定のファンを大切にした「 D to C 」ビジネスを構築する準備をこのステイホームの時間で準備した。糸井重里さんの「ほぼ日」は良いお手本だ。来月か再来月にはオンラインサロンをDMMで行う準備もしている。




2020年5月25日月曜日

"人工知能を語る前に......そもそも人間の知能って何?"書籍「好奇心とイノベーション」ギリアの代表取締役社長・清水亮さんとの対談


第5回は、「ヒトと AI の共生環境の実現」を目指し設立された ギリアの代表取締役社長・清水亮さんとの対談です。令和時代 の人工知能・AI はどうなるのか、人間の知能を再現できるのか。 人間の知能はどんなものなのかを掘り下げます。


清水 亮 ギリア代表取締役社長

新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして 世界を放浪した末、2017 年にソニー CSL、 WiL と共にギリア株式会社を設立、「ヒトと AI の共生環境」の構築に情熱を捧げる。東 京大学先端科学技術研究センター客員研究 員。主な著書に『教養としてのプログラミ ング講座』『よくわかる人工知能』『プログ ラミングバカ一代』など。
















[人工知能を語る前に......そもそも人間の知能って何?]

Siri と話しても虚しいのはなぜか
坂井 :ディープラーニングが注目されるようになってから、何でもかんでも人工知能、AI と呼ばれています。

清水 :僕はむしろ人工知能の概念を広げて、電卓から人工知能と呼んでいいと思っているんです。人工知能とは何か。それは「人間の知能を、どんなものと認識するか」を考えるのと同じことです。人工知能が発展するプロセスは、実は、知能をどう認識するかの進化の話なんですよ。例えば 100 年ほど前だと、集計作業は機械にはできないと思われていたけれど、穴 あきカードを発明して、穴の数を数える機械をつくったら、 13年かかると言われていた集 計期間が 1年半に短縮できた。そうやって人間にしかできないと思われていた知的作業を、 機械を使って効率的にやっていくことに関心が高まっていったんです。穴あきカードをつ くった会社は IBM という名前に変わっていくわけですけれど。

坂井: 人力でやっていた情報処理を、機械が代わりにやることで、高速にできるようになりましたよね。

清水: 集計は足し算ですが、次はもっと難しい計算ができるように考えて計算機ができました。だから電卓は、人工知能を目指す最初の道のりにあるわけです。

坂井 :知能を機械化する試みの始まりですね。

清水: 言葉と言葉の関係性も、計算機上で扱われるようになります。第 2次世界大戦下では、暗号を解く機械がつくられました。有名な話ですが、ドイツの潜水艦 U ボートがど こに現われるかは暗号化されていて、解読のためにイギリス政府は数学者を集めました。 ところが暗号の鍵を解くために、すべてのパターンを総当たりで試そうとすると、一つの 暗号を解読するのに、 1万人の数学者がいても 2000 年かかる。でも20 分以内に解か ないと意味がない。そこで数学者のアラン・チューリングは、人力ではなく暗号解読する 機械を開発して、解読に成功します。

坂井: チューリングは、人工知能の父と呼ばれるようになります。

清水 :ここで知能とは何か、という話に戻しますが、最初は「計算が正確で早い人は賢くて知能が高いから、計算を機械化したら人間のように賢いモノがつくれる」と期待した。 けれど、いざ計算機ができて、計算するスピードが上がっても、「求めていた知能と違う」 となって、人工知能の研究は一度挫折するんです。次に「賢くて知能が高い人は、たくさんのものを知っている。問題を解決する最適な手 段が選べる」という仮説があって、いろんな情報処理方法、アルゴリズムをコンピュータ で実行できるようにしました。けれど、やっぱり求めていた「知能」とは呼べなくて、人 工知能の研究は行き先を見失ってしまった。これが 1990 年代初頭です。

坂井 :人間の思考を機械が再現できているとは言えなかったわけですね。

清水: 例えば、犬と猫の違いを写真だけ見て判断するというのは、アルゴリズムでは実証 できません。でも猫は、相手が猫なのか違うのか、わかるわけですよ。

坂井: 猫にもできることが、人間がつくった人工知能では説明できない、と。

清水 :「知能ってこういうものだよね」と仮説を立てて、それを再現しようとする人工知能の研究と並行して行われてきたのが、理屈はわからないけど生物の構造と同じものを人 工的につくり出して知能を再現しようというアプローチです。チューリングが活躍したの は 1940 年代ですが、同時期にアメリカの神経学者のウォーレン・マカロックは人工 ニューロンを発表します。神経細胞をコンピュータで人工的につくり出して、学習させて 知能を再現しようとしました。

坂井 :これがディープラーニングにつながっていくんですね。

清水 :でも長いこと目が出なくて、人工知能の研究は縮小していきます。僕は小学生の頃から人工知能をつくっていたけれど、就職する頃、人工知能だけで食べていくのはすごく難しくて、それで OS とかゲームの方に進んだんです。

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2020年5月24日日曜日

”そろそろ真剣に「ダイバーシティ」と向きあおう”書籍「好奇心とイノベーション」パナソニック山口有希子 さんの章

第6回は、ヤフーや IBM などで BtoB マーケティングに従事し、 パナソニック コネクティッドソリューションズ社へ移籍した エンタープライズマーケティング本部長の山口有希子さん。100 年の歴史を持つ企業で、人材の多様化、ダイバーシティの推進 や企業風土の変革に挑んでいます。培われてきた同質なカル チャーに甘んじず、異質なものと交じり合おうとすることで、 組織やビジネス、教育にどんな変化が生まれようとしているの か、語り合います。

山口有希子
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 エンタープライズマーケティング本部 本部長
1991 年リクルートコスモス入社。その後、 シスコシステムズ、ヤフージャパンなどで 企業のマーケティングコミュニケーション に従事。日本 IBM デジタルコンテンツマー ケティング & サービス部長を経て、2017 年 12 月より現職。日本アドバタイザーズ 協会 理事 デジタルメディア委員会 委員長。 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS マーケティング・エフェクティブネス部門 審査員。
















強い組織をつくるには?

[そろそろ真剣に「ダイバーシティ」と向きあおう ]

[ティーンエイジャーのほうが僕より偉いと思っている]

坂井:初めてお会いしたのは、山口さんが IBM にいらした頃ですね。ダイバーシティ をテーマに話を聞くなら山口さんが最適と聞いて。

山口:IBM は、ダイバーシティをすごく推進している会社で、人材を多様にして生産 性を上げていこうとしています。その前に在籍していたヤフーでも、私は 対 で部下の 話を聞く 1on 1 ミーティングを続けていて、いろんな背景とかキャリア観を持つ人た ちを支援して、一人ひとりが持っている力を発揮できるようにしていました。

坂井: 僕は、中国が未来社会のモデルになると思っているから、頻繁に勉強しに行くんですが、女性の社長や副社長が事もなげにいますよね。もはやダイバーシティという言葉自体が必要ないような感じです。

山口: 日本だと女性の抜擢は、わかりやすい組織のダイバーシティですからね。中国の方と話していると、シンプルに成果を出す、稼ぐことに価値を置いている。強いです。

坂井 :中国の企業を見ていると、事業自体もオープンで、社内に資源をとどめずに外に開いているように感じます。例えば、テンセントが出資している「猫眼娯楽」という映画チ ケットをオンライン販売している会社があるんですが、日本で言うとチケットぴあみたい なもので、中国のオンラインチケット販売の 60%が、その会社を通して行われています。 どの映画のチケットが今買われているかをリアルタイムでディスプレイに出していて、そ のデータを分析して販売しています。

山口: 得られたデータを使ってほかの会社と組んで、ビジネスを活性化しているんですね。

坂井 :世界の EC の 4割を占める中国は、様々な行動がデータでとれます。個人情報の扱いも日本と異なりますし。

山口 :扱えるデータがとてつもなく大きくて、しかも既存のシステムが少ないからこそ、中国はいろんなチャレンジが起きやすいんですね。IT で情報が手に入りやすくなって から、「いいビジネスモデル」とずっと言われ続けているのは、チャレンジの数を増やし てその中から学ぶこと。ところが、それを組織のカルチャーとして根付かせて実践できて いるところって、日本だとなかなか.....。

坂井:2019 年 月にトヨタが、ハイブリッド車の特許を無償開放しましたが、あれ はコア技術を他社に渡すことで、ハイブリッド車市場全体を広げていこうとするチャレン ジですよね。とはいえ、日本はまだまだ同質文化。クラシックな国だなと思います。

山口: ある意味、幸せな国なんだと思います。ガラパゴスでいても、それなりの市場規模があったから、そのままでよかったけれど、労働人口が減って生産性が上がらない中で、 変わらなきゃいけません。日本でもベンチャー企業の若者と話すとワクワクします。いろ いろなことにチャレンジをされている方を応援できるようにしたいし、パナソニックのよ うな 100 年企業も変わっていくチャレンジが必要だと感じています。

坂井 :外から見ているとパナソニックは、チャレンジしているなとわかる要素があります。山口さんがいること自体、象徴的ですよ。でもダイバーシティは、甘い話だけじゃなくて、 血だらけになることもある。ダイバーシティの導入期は、いったん生産性も下がるしね。

山口: 今、中途採用も含めていろいろ外からの知見を入れているんですが、カルチャーが入り交じるとやっぱり大変です。お互いに理解できないし。でも、そこを乗り越える中で、 一緒に目指すべき「パーパス(存在意義)」をきちんとつくれるかどうかが、重要だと思っ ています。

坂井 :そう思います。山口さんは、組織の中でのダイバーシティの定義を、今、どのように考えていますか。

山口: 人として幸せに生きるために、自分らしく選択できるような状態が、ダイバーシティだと思います。人々の価値観や生き方が変わってきているにもかかわらず、会社がこれまでの概念や規定ルールにしばられて、アップデートされないと、そのひずみでいろんな人が困ってしまう。そこをどうやったら変えていけるのか。もちろん仕組みの問題もありますが、一番はマネジメントのトップが、どれだけ真剣に ダイバーシティを実現しようとしているかにかかっています。それぞれの人の生き方を もっと自由にしていくことで生産性を上げていくんだ、大きなパーパスに向かって一緒に 頑張っていくんだ、そう心から信じていなければ、絶対に変わらない。働き方改革も一緒 で、ただ服装を自由にしようとか、フリーアドレスにしようとか形だけやっても本質では ありません。

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2020年5月23日土曜日

世界の権威ある名画にマスクを着けさせる

COVID-19の影響で社会は不安定になり、世界中の市民が怯えている。でも一方で世界の権威ある名画にマスクを着けさせるという「いたずら」を楽しむ人々もいる。このダリなど特異の髭がマスクを突き破っていて秀逸だ。フリーダ・カーロの自画像は女性ですが髭があるので有名です。しかし、その髭はマスクで隠れている。ターゲットになったのは、ハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」フリーダ・カーロ「セルフ・ポートレイト絵画の先駆者」アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ、グスタフ・クリムト。
サルバドール・ダリ

ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」

ピカソの「泣く女」だろうか?

フリーダ・カーロ「セルフ・ポートレイト絵画の先駆者」マスクの下には髭がある

ゴッホの「星月夜」のマスクをするゴッホ

アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ

フリーダ・カーロ


ゴッホ

 ‎レオナルド・ダ・ヴィンチ

グスタフ・クリムト




2020年5月21日木曜日

[中国のサービスを世界が真似る日が来るとは思わなかった]陳暁夏代さん、書籍「好奇心とイノベーション」から

第 3 回目は、コンセプターの坂井直樹さんが、今起きている社会の変化の中でも、少し先の未来で「スタンダード」となり得そうな出来事、従来の慣習を覆すような新しい価値観を探る対談コラム。第3回目は、日本と中国、双方のカルチャーに寄り添ったブランディングや若年層マーケテイングを手がける陳暁夏代さんです。「祖父と孫ぐらいの年齢差」がある二人が、中国の飛び級制度、高齢出産、日本のビジネスマナーやメディアなど多岐にわたり語り合いました。

陳暁夏代 DIGDOG 代表

内モンゴル自治区出身、上海育ち。幼少期 から日本と中国を行き来する。上海・復旦 大学在学中からイベント司会・通訳を行い、 その後上海にて日本向け就職活動イベント の立ち上げや日系企業の中国進出支援に携 わる。2011 年より北京・上海・シンガポー ルにてエンターテインメントイベントを企 画運営。2013 年東京の広告会社に勤務。 2017 年、DIGDOG llc. を立ち上げ、日本 と中国双方における企業の課題解決を行い、 エンターテインメント分野や若年層マーケ ティングを多く手がける。















[中国のサービスを世界が真似る日が来るとは思わなかった]

働き方を変えていかないと、優秀な若い子を採用できない


坂井 :年齢差で言うと、僕らは祖父と孫ぐらい離れているよね。僕は第一次ベビーブーム世代。中学生のときクラスが 15あって、 1クラス50 名いました。

陳暁:1学年で 750 人、多いですね。

坂井:10代の多感な時期に、黒人差別の撤廃を訴える公民権運動とか、ウーマン・リブと かが起こって、マイノリティが解放されるのを目の当たりにしてきた世代です。僕の場合 は、 19歳から 23歳までアメリカで会社をつくってビジネスをしていたし、会社に勤めたこ ともないから、同世代の日本人とはちょっと思考の仕方が違うかもしれない。

陳暁 :私も 19歳から 23歳の頃が、自分の中でもっとも思考が飛躍した時期だと思います。私は生まれは中国で、親も中国人です。幼稚園、小学校と大阪にいて、親の都合なのでそ こに自分の意思はありませんけれど。中学、高校、大学は中国で過ごしました。大学に入っ てからはずっと働いていましたね。最初は政治家や芸能人の通訳や司会をしていました。

坂井: 通訳って、両方の文化をわかっていないと、できないですよ、共感力がないとね。

陳暁 :正確さはもちろんですが、それ以上に“ケア力”が問われますね。相手が気持ちよく会話できるように、ニュアンスを含めて橋渡しする姿勢が、VIP の通訳では大事か もしれないです。それが 19歳、 20歳の頃で、その後はどうせ働くならスキルを身に付けた いと思って、いろんな事業の立ち上げに参加していました。

坂井: 僕は、中国に何度も足を運んでいるし、中国人の親友も多いのだけど、いまだ中国人のマインドについてわかってないところがたくさんあります。

陳暁 :マインドを理解するために、中国の最新トレンドを追いかける必要はないと思うんです、時代とともに淘汰されるものなので。むしろ、中国を外から見るか、中から見るかの問題ではないかと思います。私は、日中両方のことがわかる立場で生きていて、中国に行くときは中国人として発言するし、日本にいるときは日本人として思考します。

日本に ない中国独特の思考というと、“自己人”(ファミリー)というのがありますね。例えば華 僑なら、友達や家族じゃなくても、海外においてはファミリーだと思ったり、一度ファミ リーだと思ったらいろんなルールを無視して優しくしたりと、そういった接し方がありま す。

坂井 :夏代さんも海外に住む中国人だから、華僑だね。

陳暁 :そうですね。海外で中華系の人に会うと打ち解けやすいですし、「お互い華僑だから一緒に商売しよう」という風にすぐなります。英語でいうと「バディ」に近い。例えば 何か損をしても「“自己人”だからいいよ」と、圧倒的に保護の対象になる。そういう気 持ちは中国人文化の中に根付いているかもしれないですね。

坂井 : “自己人”なら、たとえ中国と政治的、軍事的に対立している国に住む人であっても、許しあえる? 

続きは「好奇心とイノベーション」



2020年5月20日水曜日

会社からオフィスが消え、街から強盗が消える?「好奇心とイノベーション」編集工学の松岡正剛さん

コンセプター坂井直樹が、今起きている社会変化の中で、少し 先の未来で「スタンダード」となり得そうな出来事や、従来の 慣習を覆すような新しい価値観を探る対談。第 1 回目は編集 工学者の松岡正剛さんと語り合います。松岡さんの蔵書 2 万冊が 壁一面に広がる編集工学研究所内のブックサロンスペース「本楼」 で対談を行いました。

データが街を安全に、人を倫理的にする

坂井 :これまで「会社」というと、オフィスがあって、社員が通勤するものと思われてきましたけれど、今や仕事もミーティングも、どこにいてもできるようになりました。僕の 会社は、自前のオフィスを完全になくしました。今 71歳(対談当時)ですが、まだもう少 しやりたいことがあったので、極力スタッフを減らして、場所もなくして、コストゼロに 近い形にしたんです。

そのほうが好き勝手できますから。それで海外にばかり行っていま す。オフィス自体をなくす選択をする企業は出てきていて、社員が集まって働くスタイル が崩れれば、会社の未来のスタンダードは、従来とは違うものになるんじゃないかと思い ます。

思い返せば、僕が日産「Be–1 」のコンセプトを出したとき、街中には四角い車しか なくて、奇妙な車と言われましたけれど、今や丸いデザインがスタンダードになりました。 イノベーションというのは、そういう新しいスタンダードをつくることなんじゃないか、 僕らがまだ見ていない未来のスタンダードの兆しが生まれているんじゃないか、そんなことを考えています。

松岡 :そうか、坂井さんも 71歳だ。でも暴走しているね。僕は 74歳(当時)だけれど古稀のときに再暴走を決断しました(笑)。ところで、オフィスで働くとか、通勤するとか、 そういったこと自体すべてがネーションステート(国民国家)の官僚と工場がつくりあげ た「デファクトスタンダード」の塊なんですよ。

定められた規格はないけれど、結果とし て事実上標準化している「バカ常識」みたいなもの。ある部屋ができると、誰もが入口が あるだろう、きっと窓があるだろうと思ってしまい、やがて全体にデファクトスタンダー ドというものができあがります。でも、デファクトスタンダードに埋もれていると、ニュー スタンダードはなかなか生まれてきません。

例えば駅の改札を切符から自動改札に変えた電子マネーのように、新しい発見がいりま す。PC の出現からスマホまで、あるいはミサイルからドローンまで、病気からゲノム 情報まで、この数十年の変化を考えると、既存のスタンダードで埋まり過ぎた時代が長かっ たんだと思います。














坂井: 今、上海へ頻繁に行っているのですが、決済は、ほぼすべて電子マネーで、日本の5年、10 年先の未来を見ている感じがします。QR コードにスマホをかざすだけで決済 できて、現金を持ち歩かないから、ホームレスの人も QR コードを付けてお金を集めて います。強盗も街から消えちゃうわけです、人を襲っても意味がないですから。そういう 状況を目の当たりにすると、「現金通貨」自体がいらなくなってしまうのは確実だと思わ れます。

松岡 : ビットコインがうまくいけば、通貨自体も変わっていくかもしれないね。

坂井:そもそも「現金通貨」が流通しなくなれば、ATM も造幣局も、いずれは銀行も AI などを含むシステムやインフラに吸収される可能性が高くなります。僕から見ると 中国はフィンテックもビッグデータも日本では追いつけないぐらい進んでいて。
「好奇心とイノベーション」に続く


2020年5月19日火曜日

中川政七商店の会長・中川政七さんとの対談はビジョンドリブン経営「好奇心とイノベーション」から

第7回は、中川政七商店の会長・中川政七さんとの対談です。 創業 300 年の歴史がある麻織物の老舗で、日本初の工芸をベー スにした SPA 業態を確立させ、各地の工芸メーカーの経営コン サルティングも行ってきた中川さん。工芸の未来や、継続する 企業のビジョンについて語り合います。















300年の老舗が見据える、ものづくりと事業のありかたとは?
”工芸と工業が混じりあったところにある、心地よさ”

坂井: 中川政七商店さんは、伝統のある会社ながら今もメディアで頻繁に取り上げられています。その理由はなんだと思われますか?

中川 :かつては工芸メーカーのコンサルティング事業が注目されていたので、外からの見え方は、「立て直している会社」だったのですが、最近は、「ビジョンに基づく経営が上手 く行っている会社」という視点で取材を受けることが増えました。

坂井: ビジョンドリブン経営ですか。

中川 :はい。商品コンセプトや、ブランドコンセプトのエッジが効いていて、売れている企業でも、その上にある「会社のビジョンって何か?」といったら、生活者はもう思い出せないんです。よく読むとビジョンにいいことは書いてあるんですけれど、商品やブラン ドに結び付いていないことが多い。ビジョンとすべての事業がつながっていること。これはとても大切です。さらにはビジョンに立ち返ることで、いろんな事業アイデアも生まれてくるはずです。

会社のビジョンに必要なものは 3つあります。 1つ目はパッション。そもそもパッショ ンがないとビジョンは生まれません。 2つ目はロジック。ビジョンがあっても、事業につ ながるようにきれいに体系立っていないといけない。一方で商売だから、勝たなくてはい けません。ですから 3つ目はストラテジーです。 3つそろわないと、いいビジョンを掲げ たところで、ワークしません。言っているだけで、やっていることが違う、という話にな ります。おかげさまで僕らが事業を継続してこられた最大の理由は、「日本の工芸を元気 にする!」というビジョンが定まっていることと、そこに向けて愚直にやって来たことだ と思うんですね。逆にビジョンに繋がらないことは、基本的にはやりません。

坂井 :中川さんのお店には暮らしに合わせてアップデートされた商品がいっぱいあると思いますけれど、工芸品って、いまだに国によって色とか形とか、共通するイメージもあるように思います。中国の工芸品だったら、赤とか金とか、龍みたいな文字しか出てこなくて、急にお土産屋っぽくなったりして。一方で、京都のようなエリアのブランドの展開も ありますね。京野菜とか、京あめとか。何でも「京」をつけるのは、僕はインチキっぽい 気がしてしょうがないのだけれど。
続きは「好奇心とイノベーション」














中川政七
中川政七商店 代表取締役会長

1974 年奈良県生まれ。京都大学法学部卒 業後、2002 年に中川政七商店に入社し、 2008 年代表取締役社長に就任。業界初の SPA モデルを構築。「遊 中川」「中川政七 商店」「日本市」など、工芸品をベースに した雑貨の自社ブランドを確立し、全国に 50 以上の直営店を展開。また、2009 年よ り業界特化型の経営コンサルティング事業 を開始し、日本各地の企業の経営再建に尽 力。2016 年 11 月、同社創業 300 周年を機 に十三代中川政七を襲名。2017 年には全国 の工芸産地の存続を目的に「産地の一番星」 が集う「日本工芸産地協会」を発足させる。 2018 年より会長職。


2020年5月18日月曜日

成瀬勇輝さんとの対談「お金が無くなったら生きていけない、と思っていないか?」


坂井 :成瀬さんは、アメリカで起業学を学んだあと、世界中を旅して、枠にとらわれずに活躍する日本人をインタビューしてまわったそうですね。

成瀬:50年代、60 年代のアメリカ文学を彩った「ビートジェネレーション」が好きなんで すよ。行き過ぎた資本主義や大量生産・大量消費の世の中に閉塞感を感じた若者が反発し ていくカウンターカルチャーに憧れがあって、ジャック・ケルアックの『路上』なんかを 読んで、アメリカに行きたい、世界を見たいと思ったんです。坂井さんは、そのころの空 気をリアルタイムで感じていらっしゃるんですよね。













坂井 :僕は60 年代後半、サンフランシスコで「Tatoo T–shirt」をつくって売っていました。既存の企業に居場所はないと思って渡米したのが19 歳のとき。ヒッチハイクをして、公園で寝泊まりしたこともありましたね。当時の中産階級は、ネクタイをしめたお父さんとレストランへ食事に行くような生活をしていました。そうした典型的なコンサ バティブなアメリカと、既成の価値観を否定するヒッピーのような新しいジェネレーションが思い切りぶつかった時代です。















成瀬さんは僕よりだいぶ若いけれど、世代を超えて同じようなことに関心を持っている のかもしれないね。 年代は、あらゆるマイノリティを解放する運動が起きました。あれ から 年経った今も LGBT とか環境保護とか、問題は残っているけれど、昔と違うのは、 社会的な動きだったものから、企業や国家の動きになってきている。

成瀬 :僕は、世界一周の旅を終えてから、 歳のときにモバイルメディアの「TABILABO」を立ち上げ、2017 年にトラベルオーディオガイドアプリの「ON THE TRIP」を立ち上げたんですが、ずっと旅に関心を持ち続けているのは、やはりビート ジェネレーションに興味を持ったことが大きいです。社会問題に対して文学でムーブメン トをおこそうとするところが面白いなと。















ケルアックが書いた『ザ・ダルマ・バムズ』に「リュックサック革命」という好きな一節があるんです。アメリカの若者 万人がリュックサックを背負って世界中に飛び出すこ とで、当時の資本主義黄金時代みたいなものを変えていくことを唱えました。実際、アメ リカの若者たちはバックパッカーになって世界をめぐり、その後、ヒッピーが生まれます。
















旅をして外を見て戻ってきた人たちが、新しい視点を取り入れてヒッピーのコミューンを つくっていくところにすごく興味を持ったんです。コミューンができるとメディアが生ま れて、その中でヒッピーの生活を成り立たせるための知恵がつまった『ホール・アース・ カタログ』が出てきた。












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坂井 :そうそう、これさえあれば、どこでも生きていけるっていう僕らのバイブル。当時

の編集者の一人と友達なんですよ。

成瀬 :そうなんですか!

坂井: 載っているアイテムは通販で買えるようになっていて、今でいう、グーグルとかア

マゾンみたいな本。
続きは、、、
好奇心とイノベーション 常識を飛び越える人の考え方


2020年5月17日日曜日

ドイツのカフェオーナーは常連客が距離を保つための独創的なアイデアを思いついた。



ヨーロッパの国々は再びゆっくりとCOVID-19から復活し始めている。それらの1つはドイツであり、州全体の封鎖措置によって実施された以前の制限は緩和されている。ドイツがパンデミックに非常によく対処した国の1つと見なされているので、これは当然のことだ。

























2020年5月14日の時点で、174,948件の症例が報告されており、7,928人が死亡し、約150,300人が回復しています。 5月6日メルケル首相は、ウイルスの感染速度を落とすという目標は達成され、パンデミックの第1フェーズは終わり、第2の波を引き起こさないように注意を払うよう全員に求めた。




























同じ日、連邦政府は、より多くの制限を解除することを発表した。これにより、レストランが特定の制限を使用して開店を開始する。シュヴェリーンのカフェ「カフェ・ローテ・シュヴェリーン」は、最近、常連客を外に出して営業を再開した。また、顧客との距離を確保するために、テーブルを1.5m(4.9フィート)離した。























しかし、「カフェロシュシュヴェリン」のオーナーであるジャクリーンロゼは、さらに一歩進み、常連客が距離を保つための独創的なアイデアを思いついた。このビジネスでは、顧客の帽子に取り付けられたプールヌードルを使用して、社会的な距離を隔てるサポートをしている。これはカフェの再開のためだけの1回限りのイベントだった。この滑稽な風景は封鎖後の開放感だろう。イベントだったら顧客も許容する。

2020年5月16日土曜日

ディスプレイをスタジオに持ち込み、にわかリモート対応もあってデザインは、相当イケてない。

















ステイホーム期間に入ってからテレビを見ているとテレビセットでは、突然ディスプレイを縦にしたり横にしたり苦労しながら予算の無い中工夫している。リモート出演者(ディスプレイ)と従来通りのスタジオ出演者が混じって、デザイン的に考えると、相当イケてない状況になっている。














ただ視聴者側から見ると、どちらもリモートでディスプレイ見ているわけで、もうちょっと整理出来ないのかな?と考えてしまう。ひるおび!の八代英輝弁護士の映像などはディスプレイの中のサイズをスタジオの出演者に合わせている始末だ。つまり従来のタレント全員がスタジオにいる状況に近づけようと苦心している。本来は一からリモート社会に向けてデザインをし直すべきだろう。













TBS系「ひるおび」のケースでを見ても、キャスターの一人、国際弁護士の八代英輝氏もリモート出演となった。スタジオはメインキャスターの恵俊彰と江藤愛アナウンサーのみでスタート。午前のタレント・渡辺満里奈、午後からのアーティスト・デーモン小暮とキャスター・伊藤聡子らコメンテーター陣もそれぞれリモートで出演となった。つまり額縁に入ったタレントとスタジオ出演のタレントでごちゃごちゃ感満載だ。














それにいきなりリモートなのでテレビセットだけで無くタレントも、まだリモートに慣れないせいか実にぎこちない。













一方BBCやCNNやFOXなどのスタジオのディスプレイの使い方は、従来から多くのローカル局とネットワークされることがからリモート前提で考えられており事前にテレビスタジオのセットに組み込まれているので、デザインが破綻すること無く整然としている。画像を見ると一目瞭然だ。













いつも思うことは日本ほど優れたデザイナーを多く持つ国は稀だ。しかし、このテレビセットのデザインにしても、アベノマスクのデザインにしても、酷くみすぼらしいデザインだ。ではなぜそういうことが起こるのかというと、このケースでも言えることだがデザイナーに意思決定者がデザイナーに相談さえしていないだろう。












2020年5月15日金曜日

田中仁(ジンズCEO)×坂井直樹 視界が開け、アイデアがどんどんわくようになったきっかけとは?

コンセプターの坂井直樹さんが、今起きている社会の変化の中でも、少し先の未来で「スタンダード」 となり得そうな出来事、従来の慣習を覆すような新しい価値観を探る対談コラム。今回は、ジンズ代表 取締役社長田中仁氏です。既存の商習慣にとらわれずメガネ市場にSPAを導入し、パソコン画面のブ ルーライトから目を守るメガネや超軽量メガネなど、新発想の商品や事業を生み出してきた田中氏と語 り合います。

第8回は、ジンズホールディングス代表取締役 CEO 田中仁さん です。既存の商習慣にとらわれずメガネ市場に SPA を導入し、 超軽量メガネや、パソコンやスマートフォンなどデジタル機器 から発せられるブルーライトから目を守るメガネほか、新発想 の商品や事業を生み出してきた田中さんと語り合います。














視界が開け、アイデアがわくようになったきっかけとは?

ビジョンをつくることは、存在意義を問う作業

坂井 集中度を計測できるメガネ型のウェアラブルデバイスを出されていますね。
田中 「JINS MEME」といいまして、メガネに搭載した JINS オリジナルの点式眼電位センサーで集中や緊張、リラックスの状態がわかるのです。

坂井 田中さんのようなテクノロジーを使ったチャレンジって、これまでメガネではあまりされてこなかったように思うのだけれど、どうしてなんでしょうか。

田中 それまでのメガネ店はブランド品を仕入れ、視力測定の結果にあわせてレンズと売るという小売りのビジネスモデルで成り立ってきました。メガネ 本 万円、受け取りが1週間後というのが当たり前。自社で研究開発して売るという概念が、そもそもなかったように思います。

坂井 メガネはファッションでもあるから、ブランドで売ってきたネクタイみたいなものに近いのかもしれないですね。時計は、ある段階までテクノロジーを詰めていた時代 がありますけれど、メガネはそういう発想にならなかったのは不思議です。そんな中、 JINS は、AI を取り入れたりして、新しい試みをされています。

田中 積極的にメガネにテクノロジーを取り入れようと試みてきた点では、当社はテクノロジー会社と言えるかもしれませんね。当社は SPA(製造小売り)の中でも、研究開 発型 SPA だと思っています。当時のメガネは高額品で、売り買いの主導権がメガネ店 側にありました。それを民主化しなければいけない。そういう思いが、JINS を始め たときにありました。消費者目線で商品を提供するためには、SPA が必要だったのです。

坂井 高機能、低価格の商品を開発、販売されて、今や販売本数は業界首位。その要因は何だと思いますか。

田中 自分たちのなりたい姿や、提供したいサービスを明確に描けるようになったから、首位になれたのだと思います。明確にビジョンを掲げる会社は実は少ないという話を聞き ます。あるアナリストによると、上場企業 4000 社のうち、ビジョンを本当に自分た ちの事業に落とし込んで、社長がそれを信じていると言える企業は 社あるかないかだと 言っていました。念ずれば叶うと言いますが、人も組織も、自分の思いに合わせた行動を していくものです。続きは書籍「好奇心とイノベーション」で


【田中仁氏プロフィール 】
ジンズ 代表取締役CEO
1963 年群馬県生まれ。1988 年ジェイアイエヌを設立。2001 年アイウエア事業「JINS」を開始。2011 年、 「Ernst&Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011」世界大会に日本代表として出場。 2013 年東京証券取引所第一部に上場。起業家支援のための「群馬イノベーションアワード」や「群馬イ ノベーションスクール」を開始。2014 年地域活性化支援のため「田中仁財団」を設立。同年慶應義塾大 学大学院政策メディア研究科修士課程修了。17 年4月ジンズへ社名変更。著書に『振り切る勇気』。


2020年5月14日木曜日

「好奇心とイノベーション」8人のイノベーターとの対談集。その一人猪子寿之さんとの対談。

「好奇心とイノベーション」8人のイノベーターとの対談集です。その一人猪子寿之さんとの対談の一部を投稿します。

(記事タイトル)
チームラボ 猪子寿之×坂井直樹 対談 ~脳を拡張するものに、人間の興味はシフトする

(リード)
コンセプターの坂井直樹さんが、今起きている社会の変化の中でも、少し先の未来で「スタンダード」となり得そうな出来事、従来の慣習を覆すような新しい価値観を探る対談コラム。第2回目はデジタルアートや、ソリューション事業を行う「チームラボ」の猪子寿之代表。デジタルアート作品が飾られている、チームラボのオフィスで語り合いました。坂井さんから繰り出される問いに、ときに猪子さんが「ちょっと散歩して考えてきていいですか?」と、身体全体を使って向き合いながら、対談は進んでいきました。















自分が作ったものを、自分で体験したい

坂井:チームラボは、デジタルアートミュージアムを作ったり、りそな銀行のアプリを作ったり、アートもビジネスの能力もあるから、万能に見えるよね。

猪子:創業時からアートはやっていたんですが、お金にならないので、アートを続けるために稼がなきゃいけなかったんです。その時代が長くて、そのおかげでソリューションビジネスの基盤ができた、というだけです。僕はもうアートしかやっていなくて、他の創業メンバーがソリューションに特化した仕事をしています。

坂井:総合力ってやっぱり組織の維持にとってもアートの表現にとっても大事なんだろうね

猪子:お台場の「チームラボボーダレス」は、基盤の技術をたくさん使っていて、3~4年かけて作っています。それも総合力のおかげ。細かい話ですけど、チケット販売も自社でやっていて、入場ゲートや券売機もつくったんです。全部統合的に管理したほうがいいので。でも、グローバル対応で統合的にリアルタイムに処理できるものがなくて。基盤の技術も含めてサービスとして成り立っていますね。

坂井:お台場の入場数は4か月で100万人を超えたと聞きました。猪子さんの仕事ぶりを見ていると、ガラッと世の中が変わる感じがします。

猪子:自分たちで設備を作ったことは、一般的な美術館との違いがよく表れていると思います。これまでだと作品を美術館で展示して、作品に権威がつく。それを、ギャラリーを通して売るのがアートのエコシステムでした。で、その数を限定することで、セカンダリー・マーケットも成り立っています。つまり比較的狭いワールドです。ところが僕は、アートはつくりたいけれど、根本的に売るとか、狭い世界の権威とかに興味がない。なんでアートつくりたいかというと「自分がつくったもので自分が体験したいから」なんです。それなら体験を普通に売ったほうが素直だなと思って。

坂井:それで常設のミュージアムを作った、というわけですか。「チームラボボーダレス」のデジタルアート作品は、巨大な空間の中にあって、見に来る人に反応してどんどん変わっていくし、同じ瞬間が一度もない。所有できないものね。朝10時ぐらいに行ったら、もうすでに子供もお母さんも楽しそうにしていて。カップルもお年寄りもいて。普通の美術館では子供たちが楽しくないのは、アートに参加できないからですね。





2020年5月13日水曜日

スニーカーマスクで有名なWangが、今回はIKEAの象徴的なFRAKTAバッグをフェイスマスクにした。





























zhijun wangが、IKEAの象徴的なFRAKTAバッグをフェイスマスクに変身させた。北京を拠点とするデザイナーは、大量の工業化のために街が冬に最初に激しいスモッグに巻き込まれた2013年にマスクの作成を開始した。パートナーであるyutong duanとともに、スニーカーやバッグなどのアイテムを、美学と実用性を兼ね備えたマスクに転用している。






















zhijun wangは、過去7年間に渡って手作りされてきたスニーカーマスクで知られています。彼の作品は、MoMA NYC、村上隆、ジェフステープル、ダニエルプラッツマン、リアムペイン、ジェームズハーデン、パウロディバラなどによってコレクションされている。 https://www.instagram.com/zhijunwang/












































2017年、IKEAのFRAKTAショッピングバッグが流行しそうになったとき、ワンは、アイコニックな青と黄色のトートを採用したDIY汚染マスクで自分の 評価を得た。それ以来、彼らはイタリアのスーパーマーケットのesselungaの黄色いバッグなどの素材を使用して代替バージョンを作成し、コロナウイルスの発生による不足の中で困っている人が自分のマスクを作るのに役立つ簡易バージョンのYouTubeチュートリアルをリリースした。



2020年5月9日土曜日

今日は書籍「好奇心とイノベーション」の序文の後半をご紹介します。巣ごもり需要の風に乗ったのか?Kindle版はベストセラー1位になってました。

書籍版は相変わらず、Amazonでは、すぐに在庫切れで正確な数字が取れませんが今日は在庫は正常化しています。

序文の後半
ダイソンが、わずか 日間でゼロから人工呼吸器「CoVent」を設計し、イギリス政府から 万台を受注しました。ランボルギーニは 月 日、新型コロナウイルスと戦う医療従事者向けに、マスクの生産を開始しました。フォードやGM、トヨタ、テスラも人工呼吸器の生産に乗り出しています。いずれ世界中の国や大企業、医者や製薬メーカーが力を合わせ新型コロナウイルスに打ち勝つはずです。

我々の住むこの世界は過去にも何度も気候変動や疫病で変化し、それらに対応してきま した。新型コロナウイルス出現以前と以降(アフター・コロナ)では、社会が激変し「い わゆる普通の生活」には戻らないかもしれません。

しかし、この本を手に取った皆さんなら、きっと「新しい世界」に適応し、たくましく生き抜けるはずです。
撮影 井上広一(ORYL)


















常識に疑問を突きつけるフロントランナーと未来社会について考える

僕が多感な時期を過ごした 年代のアメリカも、違った意味(人種差別の解決)で激変 の時期でした。アフリカ系アメリカ人差別廃止運動(公民権運動)で社会の分裂が鮮明に なり、様々な価値観の胎動が顕著になっていました。社会運動(労働運動、学生運動)の 激化、ヒッピーの台頭、アングラ文化。それまでのあらゆることが見直され、エネルギー に満ちあふれていました。

それに対して、今進行中の大変化は、情報テクノロジーの目覚ましい発展(デジタル変革)がすべての背景にあります。それに新型コロナウイルスとの戦いが加わりました。

ペーパーレスからキャッシュレスへと連なり、社会のボーダレス化へ。世の中のあらゆる場面はモニタリングされ、反面、個人情報がかつてないほど重視されています。中国の新型コロナウイルスの早い収束は、膨大な個人情報のログを取得できる監視カメラやデジタルマネーのトレーサビリティーがあったからという人もいます。












企業の中でも年功序列が崩壊しつつあり、成果はデータ化され、いわゆる能力主義に変わりつつあります。ワークシェアリングや、リモートワークなどの働き方改革は、期せずして新型コロナウイルスによって急速に広がりました。

変革によって「なくなるもの」もたくさんあります。キャッシュレス化による「現金」、 AI テクノロジーの用途開発進展による「事務」、テレワーク導入による「オフィス」、 自動運転技術による「ドライバー」......。その果てにあるのは、旧来の国家概念(統治、 国土、国境、国民)の消失かもしれません。

そんな未来社会を迎えようとしている我々は、その変容の波にただ翻弄されるわけには いきません。現在進行中のウイルス対策封鎖による無人の街を、いずれ以前とは違った、 しかし活気に満ちあふれる未来社会を実現につなげましょう。

そのためのアイデアは、私の対談の中に、現代の賢人とでも言うべき人たちの言葉として無数にちりばめられています。この対談は、世間の常識に疑問を突きつけ、新たなプロ トタイプをつくってきたフロントランナーたちと、未来社会がもたらすものについて語 りったものです。従来の慣習を覆す暮らし方や働き方、教育、産業のあり方など、変化に 適応する新しい価値観に触れることができます。皆さんの「好奇心とイノベーション」の 参考になれば幸いです。


坂井直樹



2020年5月8日金曜日

ウィズCORONAそしてポストCORONAの待ちに待った飲み会のために設計されたインフレータブル・フェイスシールドだ

ウィズCORONAそしてポストCORONAの沈静とともに待ちに待った社交のために設計されたインフレータブル・フェイスシールド、宅飲みも良いけれど、やはりリアルな友人達との飲み会は楽しいものだ。MARGstudio、Alessio Casciano Design、およびAngeletti Ruzzaは、コロナウイルスパンデミックのピークに続いて人々が社交的になるために使用できる、カラフルで膨脹可能なフェイスシールドを設計した。


 イタリアのデザイナーMARGstudio、Alessio Casciano Design、Angeletti Ruzzaは、人々が安全に再びレストランに戻ったり、友人の家で食事をしたりする方法を模索したいと考え、コンセプトを作成した。

「シールドは、昼食、夕食、またはドリンクの楽しめる陽気な場所に再び戻り、友人や家族の近くの公共の場所で暮らしたいすべての人のために設計されている」「シールドの主な目的は、個人を保護することであり、同時に飲食の自由な移動を可能にする」と彼女は語った。













フェイスシールドは、コロナウイルスと闘う医療従事者にとって重要な個人用保護具になり、アップル、フォスター+パートナー、そしてナイキが、世界的な不足と戦うためのアイテムを製造している企業の1つとなっている。

イタリアのデザイナーが想定しているマスクは、医療従事者が使用するためのものではありませんが、ロックダウン制限が緩和された後、通常の生活に戻りたい人のために、いくつかの社会的距離が依然として必要だ。













Soffioと名付けられ、フェイスシールドは、PVCでできたインフレータブル構造で、プラスチック製のバイザーを伸縮性のあるヘッドストラップで支えます。シールドは顔から離れた位置に配置されており、ユーザーはそれを着用しながら飲食できる。













「それは片持ち式のマスクであるため、他のマスクとは異なります。マスクの内側には、食べ物や飲み物を取り込める「保護された個人用スペース」を設計した」

「ソフィオ」は頭の周りにだけプライベートな環境を作り出し、それを身につけて飲んで食べ続けることができます。たとえば、ピザのスライスやワインを飲みながら、内部のスペースは食べられるようにデザインされている。デザイナーは、シールドがコロナウイルスのパンデミック後にレストランやバーが再開するのを助けるのに役立つことを望んでいる。













「ソフィオでは、以前とまったく同じように、しかし安全に飲酒と食事の行動を続けることができる」とグラセリ氏は語った。 「それはレストランやバーでの社会生活を経験する従来の方法を変えません。」

「私たちは、Covid時代のレストランやバーの世界のための実用的な解決策を見つけたかった。」と彼女は続けた。 「テーブルの周りで社交生活を送るのが大好きなイタリア人として、このパンデミックでそれほど苦しんでいるカテゴリーを支援しないわけにはいかなかった。」

各マスクは1ユーロ未満で製造でき、デザイナーはそれらをレストランやバーで配布することを想定している。

「それは安価で、楽しくて、持ち運びできるオブジェクトだ」とGrasselliは付け加えた。 「非常に短時間で実現可能で、短時間で配布できるようになった今、コロナウイルスは今であり、今日問題を解決する必要がある。」

医療従事者向けに多数のフェイスマスクが作成されているが、他のデザイナーも非医療用マスクに注力している。 Plastique Fantastiqueは、1950年代のSFコミックをベースにしたiSphereマスクを想定し、Joe Doucetはファッションアクセサリーとしてフェイスシールドをデザインしました。
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