2020年5月15日金曜日

田中仁(ジンズCEO)×坂井直樹 視界が開け、アイデアがどんどんわくようになったきっかけとは?

コンセプターの坂井直樹さんが、今起きている社会の変化の中でも、少し先の未来で「スタンダード」 となり得そうな出来事、従来の慣習を覆すような新しい価値観を探る対談コラム。今回は、ジンズ代表 取締役社長田中仁氏です。既存の商習慣にとらわれずメガネ市場にSPAを導入し、パソコン画面のブ ルーライトから目を守るメガネや超軽量メガネなど、新発想の商品や事業を生み出してきた田中氏と語 り合います。

第8回は、ジンズホールディングス代表取締役 CEO 田中仁さん です。既存の商習慣にとらわれずメガネ市場に SPA を導入し、 超軽量メガネや、パソコンやスマートフォンなどデジタル機器 から発せられるブルーライトから目を守るメガネほか、新発想 の商品や事業を生み出してきた田中さんと語り合います。














視界が開け、アイデアがわくようになったきっかけとは?

ビジョンをつくることは、存在意義を問う作業

坂井 集中度を計測できるメガネ型のウェアラブルデバイスを出されていますね。
田中 「JINS MEME」といいまして、メガネに搭載した JINS オリジナルの点式眼電位センサーで集中や緊張、リラックスの状態がわかるのです。

坂井 田中さんのようなテクノロジーを使ったチャレンジって、これまでメガネではあまりされてこなかったように思うのだけれど、どうしてなんでしょうか。

田中 それまでのメガネ店はブランド品を仕入れ、視力測定の結果にあわせてレンズと売るという小売りのビジネスモデルで成り立ってきました。メガネ 本 万円、受け取りが1週間後というのが当たり前。自社で研究開発して売るという概念が、そもそもなかったように思います。

坂井 メガネはファッションでもあるから、ブランドで売ってきたネクタイみたいなものに近いのかもしれないですね。時計は、ある段階までテクノロジーを詰めていた時代 がありますけれど、メガネはそういう発想にならなかったのは不思議です。そんな中、 JINS は、AI を取り入れたりして、新しい試みをされています。

田中 積極的にメガネにテクノロジーを取り入れようと試みてきた点では、当社はテクノロジー会社と言えるかもしれませんね。当社は SPA(製造小売り)の中でも、研究開 発型 SPA だと思っています。当時のメガネは高額品で、売り買いの主導権がメガネ店 側にありました。それを民主化しなければいけない。そういう思いが、JINS を始め たときにありました。消費者目線で商品を提供するためには、SPA が必要だったのです。

坂井 高機能、低価格の商品を開発、販売されて、今や販売本数は業界首位。その要因は何だと思いますか。

田中 自分たちのなりたい姿や、提供したいサービスを明確に描けるようになったから、首位になれたのだと思います。明確にビジョンを掲げる会社は実は少ないという話を聞き ます。あるアナリストによると、上場企業 4000 社のうち、ビジョンを本当に自分た ちの事業に落とし込んで、社長がそれを信じていると言える企業は 社あるかないかだと 言っていました。念ずれば叶うと言いますが、人も組織も、自分の思いに合わせた行動を していくものです。続きは書籍「好奇心とイノベーション」で


【田中仁氏プロフィール 】
ジンズ 代表取締役CEO
1963 年群馬県生まれ。1988 年ジェイアイエヌを設立。2001 年アイウエア事業「JINS」を開始。2011 年、 「Ernst&Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011」世界大会に日本代表として出場。 2013 年東京証券取引所第一部に上場。起業家支援のための「群馬イノベーションアワード」や「群馬イ ノベーションスクール」を開始。2014 年地域活性化支援のため「田中仁財団」を設立。同年慶應義塾大 学大学院政策メディア研究科修士課程修了。17 年4月ジンズへ社名変更。著書に『振り切る勇気』。


0 件のコメント:

コメントを投稿