2020年5月21日木曜日

[中国のサービスを世界が真似る日が来るとは思わなかった]陳暁夏代さん、書籍「好奇心とイノベーション」から

第 3 回目は、コンセプターの坂井直樹さんが、今起きている社会の変化の中でも、少し先の未来で「スタンダード」となり得そうな出来事、従来の慣習を覆すような新しい価値観を探る対談コラム。第3回目は、日本と中国、双方のカルチャーに寄り添ったブランディングや若年層マーケテイングを手がける陳暁夏代さんです。「祖父と孫ぐらいの年齢差」がある二人が、中国の飛び級制度、高齢出産、日本のビジネスマナーやメディアなど多岐にわたり語り合いました。

陳暁夏代 DIGDOG 代表

内モンゴル自治区出身、上海育ち。幼少期 から日本と中国を行き来する。上海・復旦 大学在学中からイベント司会・通訳を行い、 その後上海にて日本向け就職活動イベント の立ち上げや日系企業の中国進出支援に携 わる。2011 年より北京・上海・シンガポー ルにてエンターテインメントイベントを企 画運営。2013 年東京の広告会社に勤務。 2017 年、DIGDOG llc. を立ち上げ、日本 と中国双方における企業の課題解決を行い、 エンターテインメント分野や若年層マーケ ティングを多く手がける。















[中国のサービスを世界が真似る日が来るとは思わなかった]

働き方を変えていかないと、優秀な若い子を採用できない


坂井 :年齢差で言うと、僕らは祖父と孫ぐらい離れているよね。僕は第一次ベビーブーム世代。中学生のときクラスが 15あって、 1クラス50 名いました。

陳暁:1学年で 750 人、多いですね。

坂井:10代の多感な時期に、黒人差別の撤廃を訴える公民権運動とか、ウーマン・リブと かが起こって、マイノリティが解放されるのを目の当たりにしてきた世代です。僕の場合 は、 19歳から 23歳までアメリカで会社をつくってビジネスをしていたし、会社に勤めたこ ともないから、同世代の日本人とはちょっと思考の仕方が違うかもしれない。

陳暁 :私も 19歳から 23歳の頃が、自分の中でもっとも思考が飛躍した時期だと思います。私は生まれは中国で、親も中国人です。幼稚園、小学校と大阪にいて、親の都合なのでそ こに自分の意思はありませんけれど。中学、高校、大学は中国で過ごしました。大学に入っ てからはずっと働いていましたね。最初は政治家や芸能人の通訳や司会をしていました。

坂井: 通訳って、両方の文化をわかっていないと、できないですよ、共感力がないとね。

陳暁 :正確さはもちろんですが、それ以上に“ケア力”が問われますね。相手が気持ちよく会話できるように、ニュアンスを含めて橋渡しする姿勢が、VIP の通訳では大事か もしれないです。それが 19歳、 20歳の頃で、その後はどうせ働くならスキルを身に付けた いと思って、いろんな事業の立ち上げに参加していました。

坂井: 僕は、中国に何度も足を運んでいるし、中国人の親友も多いのだけど、いまだ中国人のマインドについてわかってないところがたくさんあります。

陳暁 :マインドを理解するために、中国の最新トレンドを追いかける必要はないと思うんです、時代とともに淘汰されるものなので。むしろ、中国を外から見るか、中から見るかの問題ではないかと思います。私は、日中両方のことがわかる立場で生きていて、中国に行くときは中国人として発言するし、日本にいるときは日本人として思考します。

日本に ない中国独特の思考というと、“自己人”(ファミリー)というのがありますね。例えば華 僑なら、友達や家族じゃなくても、海外においてはファミリーだと思ったり、一度ファミ リーだと思ったらいろんなルールを無視して優しくしたりと、そういった接し方がありま す。

坂井 :夏代さんも海外に住む中国人だから、華僑だね。

陳暁 :そうですね。海外で中華系の人に会うと打ち解けやすいですし、「お互い華僑だから一緒に商売しよう」という風にすぐなります。英語でいうと「バディ」に近い。例えば 何か損をしても「“自己人”だからいいよ」と、圧倒的に保護の対象になる。そういう気 持ちは中国人文化の中に根付いているかもしれないですね。

坂井 : “自己人”なら、たとえ中国と政治的、軍事的に対立している国に住む人であっても、許しあえる? 

続きは「好奇心とイノベーション」



0 件のコメント:

コメントを投稿