第6回は、ヤフーや IBM などで BtoB マーケティングに従事し、 パナソニック コネクティッドソリューションズ社へ移籍した エンタープライズマーケティング本部長の山口有希子さん。100 年の歴史を持つ企業で、人材の多様化、ダイバーシティの推進 や企業風土の変革に挑んでいます。培われてきた同質なカル チャーに甘んじず、異質なものと交じり合おうとすることで、 組織やビジネス、教育にどんな変化が生まれようとしているの か、語り合います。
山口有希子
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 エンタープライズマーケティング本部 本部長
1991 年リクルートコスモス入社。その後、 シスコシステムズ、ヤフージャパンなどで 企業のマーケティングコミュニケーション に従事。日本 IBM デジタルコンテンツマー ケティング & サービス部長を経て、2017 年 12 月より現職。日本アドバタイザーズ 協会 理事 デジタルメディア委員会 委員長。 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS マーケティング・エフェクティブネス部門 審査員。
強い組織をつくるには?
[そろそろ真剣に「ダイバーシティ」と向きあおう ]
[ティーンエイジャーのほうが僕より偉いと思っている]
坂井:初めてお会いしたのは、山口さんが IBM にいらした頃ですね。ダイバーシティ をテーマに話を聞くなら山口さんが最適と聞いて。
山口:IBM は、ダイバーシティをすごく推進している会社で、人材を多様にして生産 性を上げていこうとしています。その前に在籍していたヤフーでも、私は 対 で部下の 話を聞く 1on 1 ミーティングを続けていて、いろんな背景とかキャリア観を持つ人た ちを支援して、一人ひとりが持っている力を発揮できるようにしていました。
坂井: 僕は、中国が未来社会のモデルになると思っているから、頻繁に勉強しに行くんですが、女性の社長や副社長が事もなげにいますよね。もはやダイバーシティという言葉自体が必要ないような感じです。
山口: 日本だと女性の抜擢は、わかりやすい組織のダイバーシティですからね。中国の方と話していると、シンプルに成果を出す、稼ぐことに価値を置いている。強いです。
坂井 :中国の企業を見ていると、事業自体もオープンで、社内に資源をとどめずに外に開いているように感じます。例えば、テンセントが出資している「猫眼娯楽」という映画チ ケットをオンライン販売している会社があるんですが、日本で言うとチケットぴあみたい なもので、中国のオンラインチケット販売の 60%が、その会社を通して行われています。 どの映画のチケットが今買われているかをリアルタイムでディスプレイに出していて、そ のデータを分析して販売しています。
山口: 得られたデータを使ってほかの会社と組んで、ビジネスを活性化しているんですね。
坂井 :世界の EC の 4割を占める中国は、様々な行動がデータでとれます。個人情報の扱いも日本と異なりますし。
山口 :扱えるデータがとてつもなく大きくて、しかも既存のシステムが少ないからこそ、中国はいろんなチャレンジが起きやすいんですね。IT で情報が手に入りやすくなって から、「いいビジネスモデル」とずっと言われ続けているのは、チャレンジの数を増やし てその中から学ぶこと。ところが、それを組織のカルチャーとして根付かせて実践できて いるところって、日本だとなかなか.....。
坂井:2019 年 月にトヨタが、ハイブリッド車の特許を無償開放しましたが、あれ はコア技術を他社に渡すことで、ハイブリッド車市場全体を広げていこうとするチャレン ジですよね。とはいえ、日本はまだまだ同質文化。クラシックな国だなと思います。
山口: ある意味、幸せな国なんだと思います。ガラパゴスでいても、それなりの市場規模があったから、そのままでよかったけれど、労働人口が減って生産性が上がらない中で、 変わらなきゃいけません。日本でもベンチャー企業の若者と話すとワクワクします。いろ いろなことにチャレンジをされている方を応援できるようにしたいし、パナソニックのよ うな 100 年企業も変わっていくチャレンジが必要だと感じています。
坂井 :外から見ているとパナソニックは、チャレンジしているなとわかる要素があります。山口さんがいること自体、象徴的ですよ。でもダイバーシティは、甘い話だけじゃなくて、 血だらけになることもある。ダイバーシティの導入期は、いったん生産性も下がるしね。
山口: 今、中途採用も含めていろいろ外からの知見を入れているんですが、カルチャーが入り交じるとやっぱり大変です。お互いに理解できないし。でも、そこを乗り越える中で、 一緒に目指すべき「パーパス(存在意義)」をきちんとつくれるかどうかが、重要だと思っ ています。
坂井 :そう思います。山口さんは、組織の中でのダイバーシティの定義を、今、どのように考えていますか。
山口: 人として幸せに生きるために、自分らしく選択できるような状態が、ダイバーシティだと思います。人々の価値観や生き方が変わってきているにもかかわらず、会社がこれまでの概念や規定ルールにしばられて、アップデートされないと、そのひずみでいろんな人が困ってしまう。そこをどうやったら変えていけるのか。もちろん仕組みの問題もありますが、一番はマネジメントのトップが、どれだけ真剣に ダイバーシティを実現しようとしているかにかかっています。それぞれの人の生き方を もっと自由にしていくことで生産性を上げていくんだ、大きなパーパスに向かって一緒に 頑張っていくんだ、そう心から信じていなければ、絶対に変わらない。働き方改革も一緒 で、ただ服装を自由にしようとか、フリーアドレスにしようとか形だけやっても本質では ありません。
続きは
↓
山口有希子
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 エンタープライズマーケティング本部 本部長
1991 年リクルートコスモス入社。その後、 シスコシステムズ、ヤフージャパンなどで 企業のマーケティングコミュニケーション に従事。日本 IBM デジタルコンテンツマー ケティング & サービス部長を経て、2017 年 12 月より現職。日本アドバタイザーズ 協会 理事 デジタルメディア委員会 委員長。 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS マーケティング・エフェクティブネス部門 審査員。
強い組織をつくるには?
[そろそろ真剣に「ダイバーシティ」と向きあおう ]
[ティーンエイジャーのほうが僕より偉いと思っている]
坂井:初めてお会いしたのは、山口さんが IBM にいらした頃ですね。ダイバーシティ をテーマに話を聞くなら山口さんが最適と聞いて。
山口:IBM は、ダイバーシティをすごく推進している会社で、人材を多様にして生産 性を上げていこうとしています。その前に在籍していたヤフーでも、私は 対 で部下の 話を聞く 1on 1 ミーティングを続けていて、いろんな背景とかキャリア観を持つ人た ちを支援して、一人ひとりが持っている力を発揮できるようにしていました。
坂井: 僕は、中国が未来社会のモデルになると思っているから、頻繁に勉強しに行くんですが、女性の社長や副社長が事もなげにいますよね。もはやダイバーシティという言葉自体が必要ないような感じです。
山口: 日本だと女性の抜擢は、わかりやすい組織のダイバーシティですからね。中国の方と話していると、シンプルに成果を出す、稼ぐことに価値を置いている。強いです。
坂井 :中国の企業を見ていると、事業自体もオープンで、社内に資源をとどめずに外に開いているように感じます。例えば、テンセントが出資している「猫眼娯楽」という映画チ ケットをオンライン販売している会社があるんですが、日本で言うとチケットぴあみたい なもので、中国のオンラインチケット販売の 60%が、その会社を通して行われています。 どの映画のチケットが今買われているかをリアルタイムでディスプレイに出していて、そ のデータを分析して販売しています。
山口: 得られたデータを使ってほかの会社と組んで、ビジネスを活性化しているんですね。
坂井 :世界の EC の 4割を占める中国は、様々な行動がデータでとれます。個人情報の扱いも日本と異なりますし。
山口 :扱えるデータがとてつもなく大きくて、しかも既存のシステムが少ないからこそ、中国はいろんなチャレンジが起きやすいんですね。IT で情報が手に入りやすくなって から、「いいビジネスモデル」とずっと言われ続けているのは、チャレンジの数を増やし てその中から学ぶこと。ところが、それを組織のカルチャーとして根付かせて実践できて いるところって、日本だとなかなか.....。
坂井:2019 年 月にトヨタが、ハイブリッド車の特許を無償開放しましたが、あれ はコア技術を他社に渡すことで、ハイブリッド車市場全体を広げていこうとするチャレン ジですよね。とはいえ、日本はまだまだ同質文化。クラシックな国だなと思います。
山口: ある意味、幸せな国なんだと思います。ガラパゴスでいても、それなりの市場規模があったから、そのままでよかったけれど、労働人口が減って生産性が上がらない中で、 変わらなきゃいけません。日本でもベンチャー企業の若者と話すとワクワクします。いろ いろなことにチャレンジをされている方を応援できるようにしたいし、パナソニックのよ うな 100 年企業も変わっていくチャレンジが必要だと感じています。
坂井 :外から見ているとパナソニックは、チャレンジしているなとわかる要素があります。山口さんがいること自体、象徴的ですよ。でもダイバーシティは、甘い話だけじゃなくて、 血だらけになることもある。ダイバーシティの導入期は、いったん生産性も下がるしね。
山口: 今、中途採用も含めていろいろ外からの知見を入れているんですが、カルチャーが入り交じるとやっぱり大変です。お互いに理解できないし。でも、そこを乗り越える中で、 一緒に目指すべき「パーパス(存在意義)」をきちんとつくれるかどうかが、重要だと思っ ています。
坂井 :そう思います。山口さんは、組織の中でのダイバーシティの定義を、今、どのように考えていますか。
山口: 人として幸せに生きるために、自分らしく選択できるような状態が、ダイバーシティだと思います。人々の価値観や生き方が変わってきているにもかかわらず、会社がこれまでの概念や規定ルールにしばられて、アップデートされないと、そのひずみでいろんな人が困ってしまう。そこをどうやったら変えていけるのか。もちろん仕組みの問題もありますが、一番はマネジメントのトップが、どれだけ真剣に ダイバーシティを実現しようとしているかにかかっています。それぞれの人の生き方を もっと自由にしていくことで生産性を上げていくんだ、大きなパーパスに向かって一緒に 頑張っていくんだ、そう心から信じていなければ、絶対に変わらない。働き方改革も一緒 で、ただ服装を自由にしようとか、フリーアドレスにしようとか形だけやっても本質では ありません。
続きは
↓
0 件のコメント:
コメントを投稿