先日僕の会社で毎週開かれるクリエイティブの勉強会に嶋さんをお招きした。はじめから皆でビールを飲みながらのリラックスした勉強会。「本屋大賞」仕掛け人・嶋浩一郎の“逆張り”発想法「検索50ページ目のもつ焼き屋にあえて行く」など世の中が“沸く”アイデアジェネレーターだ。インタビューは元「広告批評」編集長・河尻亨一氏。
今回紹介するヒットの仕掛人は嶋浩一郎氏。「博報堂ケトル」代表である。博報堂ケトルは、広告制作を手がけるクリエーティブエージェンシーだが、嶋氏はテレビ、新聞といった既成のメディアの枠にとらわれない斬新なヒット企画やキャンペーンをプロデュースしてきた。
『企画力』『アイデアの作り方』といった著作もリリースするなど、広告業界きっての“企画達者”として知られている。
ちなみにケトルとは、「やかん」だ。世の中を湧かすアイデアがグラグラ沸騰する場所、という意味で名付けたものらしい。
嶋氏がプロデュースした主な仕事としては、全国の書店員がその年一番売りたい本を投票で決める「本屋大賞」や、人気マンガの主人公がビールを飲むシーンを駅張りポスターなどさまざまな媒体に登場させた「島耕作社長就任キャンペーン」(サントリー)などがある。
いずれも“遊びゴコロを感じさせ、かつ販売に結びつく”プロジェクトと言える。
なかでも、2009年の「少年マガジン・少年サンデー50周年キャンペーン」だ。版元の異なる少年マンガの草分け雑誌が同年に創刊されたことに着目し、50周年のイベントを合同で開催しようという企画。日本のマンガカルチャーを築いた両巨頭のコラボレーションは、ちょっとしたミラクルでもあった。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20100727/1032482/?rt=nocnt
アイデアを生むには、まず多くの情報を集めることが必要だ。しかし、集めた情報を整理してしまってはいけない。雑多なまま「放牧」しておくと、予想外の「交配」が起こり、すごいアイデアが生まれることになる。多くのすぐれた広告を創ってきた気鋭のクリエイターが、情報収集からアイデア発想まで、具体的なコツと道具を詳細に語る。
「自分が得た情報を整理せずに「放牧」しておくと、思わぬアイデアが生まれる」と語る。 嶋浩一郎:博報堂ケトル 共同CEO。93年博報堂入社。コーポレート・コミュニケーション局に配属され、企業のPR・情報戦略に携わる。
01年から03年まで博報堂「広告」編集長を務め、04年に「本屋大賞」を立ち上げた。06年に博報堂ケトルを設立。
嶋浩一郎のアイデアのつくり方 (ディスカヴァー携書 3) [新書]嶋 浩一郎 (著)