クリエイティブはいつもポジティブな心から生まれる。社会的弱者にいつも注目し優しい目線で取材する都築響一さんの有料ブログの「ロードサイダーズ・ウィークリー011号」から要約、大震災で壊滅的な被害にあった宮城県石巻市の小学校で、山積みにされたガレキをつかって、子供たちがこんなにおもしろい作品をつくっていて、それがもう日本中を巡回していた。
その小学校の名前を取って「ワタノハスマイル」と呼ばれるプロジェクトは、イタリアにも渡って展覧会を開催した。子供達は強いね。
「立体イラストレーター」と名乗る犬飼ともさんの話。山形の団体が炊き出しに入った場所のひとつが、宮城県石巻市の渡波(ワタノハ)小学校。渡波小学校に着いたら、校庭がガレキの山になってるし。
でも、そのガレキの山から、子供たちがオモチャとかを探して引っ張り出して、遊んでるんですよ。めちゃくちゃ楽しそうに。それを見て楽になったというか、すごく救われた気持ちになりました。4月2日のことでしたね。
犬飼さんたちは、震災被害の対処に追われてオトナたちにかまってもらえない、子供の居場所をつくることから動き始める。
まずはガレキから探してきたオモチャで遊んだり、一緒にサッカーしたり。そのうちにそろそろいいかなと思って、まずは僕が自分でガレキの中からモノを拾ってきて、それでオブジェを作りだしたんですね。強制するのとかは、ぜったいイヤでしたから。
そしたら、それを見ていた子供たちが、僕もやりたい、わたしもやりたいって加わってきて。下は小学校2年生から、上は中学校2年生まで、20名ぐらいの美術好きな子が集まったんです。それで4月の下旬ですが、2日間かけて一気にぜんぶで100体ほどのオブジェをつくりました。
私たちは渡波小学校の校庭に流れ着いた町のカケラ(ガレキ)を使ってオブジェを作りました。「町のカケラ」を子供たちが自由にくっつけ、自由にオブジェを作りました。
悲しみの固まりが、子供たちの力によって優しいオブジェに生まれ変わりました。今回の震災で出た街のガレキの撤去に多額の支出が見込まれていますが、子供たちの作ったオブジェはガレキではなく「大切なもの」に生まれ変わりました。
ワタノハスマイルのウェブサイトには、こんなふうに書かれている。いまだ市街各地にそびえたつ、だれもが言葉を失うしかない、圧倒的な負の巨塊としてのガレキの山。それを、たとえ部分的ではあっても、楽しげな作品の素材に見立てる発想の転換。これをアートと言わずして、なんと呼ぶべきか。
「被災地」とひとくくりで語られる場所からの、豊かなクリエイティビティの発露を、ひとりでも多くのみなさんに見ていただけたらと、僕も願う。
NPO法人としてのワタノハスマイルは、まだまだ展覧会開催の問い合わせを受け付けているようなので、興味のある方はぜひ彼らのウェブサイトからコンタクトしていただきたい。ちなみにこれだけ楽しい展覧会を、これだけ続けてきて「美術業界からの反応はゼロ」だとか・・・溜息。
http://www.roadsiders.com/ Vol.011
ワタノハスマイル http://www.watanohasmile.jp/
犬飼とも http://inutomo.boy.jp/
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