ボーマン船長 |
スタンリー・キューブリックが1968年に作った「2001年宇宙の旅」という映画がある。この映画の背景を考えるために、1968年とは、どんな時代だったのか?を慶應SFCの1990年前後に生まれた学生達にレクチャーをした。この映画の見所は二つある。一つはキューブリック独特のSFX撮影。もう一つは1968年の映画だから、40年前にアメリカを代表した企業のロゴが出てくる。いくつ見つけることが出来るのか?皆さんもぜひ見つけてください。いまならGyaO!で無料で見れます。http://gyao.yahoo.co.jp/p/00597/v09931/
「フロントプロジェクション」や「スリットスキャン」などのSFX撮影 |
まずSFX撮影。
この時代には、コンピュータ・グラフィックスはまだ一般的には使用されていない。それなのに映像のエフェクトは今見てもすごい。ワイヤーフレームCGが登場するが、当時CGはまだ研究室レベルの段階であり、電卓すら黎明期で一般には手が出ない時代だったため、これらの画像は計算尺で計算し、手描きにより作図された。カメラマン出身で撮影技術に長けたキューブリックは、SFX撮影スタッフと共に「フロントプロジェクション」や「スリットスキャン(スリット越しに被写体を、シャッターが開いた状態で撮影する技術)」といった新たな撮影方法を考案。キューブリックは美術担当として漫画家の手塚治虫の協力を仰いだが多忙を理由に断られる。
パンナムの宇宙船(Orion III)内部なぜか?テレビには女子柔道 |
1968年の映画だから、40年前のアメリカ企業のロゴが出てくる。
地球から宇宙ステーションまでは、パンナムの宇宙船(Orion III)で移動。そして、宇宙ステーション(Space Station 5)では、ホテルはヒルトン、電話はベルシステム、レストランはハワード・ジョンソン。しかし、パンナムは1991年に破綻、ヒルトンは2007年に上場廃止、ベルシステムは1984年に反独占訴訟で解体、ハワード・ジョンソンのレストランは1,040軒から3軒に。時代の変化はすごいことです。盛者必滅、諸行無常。僕が見つけたロゴは、ヒルトンホテルやAT&T、ハワード・ジョンソンズ、電話はベルシステムズ、IBM、Whirlpool、mだあるかもしれない。
「2001年宇宙の旅」のストーリー
月に人類が住むようになった現代。アメリカ合衆国宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士は、月のティコクレーターで発掘した謎の物体「モノリス」を極秘に調査するため、月面クラビウス基地に向かう。調査中、400万年ぶりに太陽光を浴びたモノリスは強力な信号を木星(小説版では土星)に向けて発した。ボーマン船長は、ひとり探査を続行した彼は木星の衛星軌道上で巨大なモノリスと遭遇、驚愕の体験を経て人類を超越した存在・「スターチャイルドへと進化を遂げる。」スリットスキャンがすごいエフェクト。
「週刊少年ジャンプ」創刊号 |
68'に起きたこと。
まずアポロ11号が月面着陸を果たす前年の1968年に公開。/intel設立/全共闘/東大医学部無期限スト突入。/東大闘争始まる。/ベトナム戦争において、南ベトナムの共産ゲリラが蜂起、テト攻勢開始。/服部時計店(現セイコー)がトランジスタクロックを発売。/マーティン・ルーサー・キング暗殺。/フランスで、学生の街頭占拠と労働者のストライキが一ヶ月に渡って続発した五月革命が勃発する。/ロバート・F・ケネディ暗殺。/「週刊少年ジャンプ」が創刊。/川端康成がノーベル文学賞受賞。/タカラ「人生ゲーム」を発売。/ソニーが「トリニトロン」を発売。/明治製菓、日本初のスナック菓子「カール」発売。/ゲゲゲの鬼太郎 放映開始/ 巨人の星 放映開始/アニマル1 放映開始/サイボーグ009 放映開始/怪物くん 放映開始等々、これでもほんの一部の出来事だ。世界を変える事件が勃発した年だ。
Stanley Kubrick previewed 2001: A Space Odyssey (1968)
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