2020年7月12日日曜日

デジタルトランスフォーメーション(DX)を国家レベルで考えるケース

実際のところ、DXは企業改革のバズワードとなっている感じがある。しかし、企業が所属する国家の影響を受けることは明白だ。つまり企業のDXも国家レベルのDXの影響を受けるということでもある。イーロン・マスクは中国に頻繁に出張し、着実に成果を上げているという。

COVID-19の影響をを受けた時価総額の逆転現象の代表が米テスラ。電気自動車の量産体制が整って損益も黒字化し、コロナ禍での勝ち組を探すマネーが集まった。テスラの昨年の年間販売台数はトヨタの約30分の1にすぎないが、時価総額でトヨタ自動車を抜き業界トップになった。















彼が抱える主力ビジネスであるTeslaは既に上海に巨大な工場をロールアウトさせ、同社が生産するEV(電気自動車)に自動車消費税10%の免税を取り付けたという。テスラを始め、アメリカの自動車産業自体は頑張っているが、EVの売上は伸び悩んでいる。2020年になっても世界のEV浸透率は12%程度で、2025年で32%程度となっている。

この市場規模が従来通りの大量生産大量販売で利益を出すというメーカーの意欲を割いているのだろう。トヨタは全車種へのEV展開を従来の2030年から2025年に前倒しすると発表した。













中国は国を挙げてEV化に取り組み、2025年までにEVとPHVのシェアを20%まで引き上げる予定であるという大きなリードを得ている中国は、さらにEV化を加速させるために国家として積極的に推奨活動を展開しており、その証拠の一つがイーロン・マスクの訪中とテスラへの待遇である。

これをデジタルトランスフォーメーション(DX)視点で考えると、国家とDX、もしくは企業経営とDXの関係性の重要性が見えてくる。DXのような先進的な技術やイノベーションは、少なからず過去の成功体験と収益構造を破壊することになる。DXプロジェクトを推進するなら企業のトップが、企業のDXを推奨するなら国家がリスクを取って、DXプレイヤーの動きやすい環境を作る努力をしなければならない。イーロン・マスクの動きはそんな象徴なのかもしれない。


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