書籍[x‐DESIGN――未来をプロトタイピングするために]
複雑化するデザインを理解し、新たな価値創造に迫る人材の育成を目指す場、それが慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス通称SFCの「x-Design」(エクス・デザイン)プログラム。
山中 俊治 (著, 編集), 脇田 玲 (著, 編集), 田中 浩也 (著, 編集), 坂井 直樹 (著), 岩竹 徹 (著), 加藤 文俊 (著), 中西 泰人 (著), 藤田 修平 (著), 筧 康明 (著), 水野 大二郎 (著)
さまざまな分野のデザインの垣根が取り払われつつあるいま、一つの「モノ」を作り上げるには、幅広い視野で統合的にデザインすることが必要だ。「クリエイティヴ・マインド」を研究の基本的な推進力・原動力として持続しながら、 開発力x表現力、技法x技術、論理的思考x美的直観、作り手x使い手の価値観
といった分断された諸要素をふたたび包摂・統合し具現化できるハイブリッドな素養を持つエキスパートとは――。
世界の第一線で活躍するデザイナーやアーティストをディレクターとした、「モノづくり」の新しい形を探る10の実験工房の活動とその成果を追う。
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「x‐DESIGN――未来をプロトタイピングするために」の一文 _坂井直樹
私自身の人生の46年間もの長い期間、主に繊維メーカー、自動車会社、電機メーカーなどの大企業へ商品開発のデザイン・コンセプト(イメージとしてのプロダクトデザイン)を提供してきた。
ちょうど60才の時に、全く自身で想像もしてこなかった慶応義塾SFCのデザイン系の教員になった。自分のデザイン人生を大まかに分けると京都芸大にいた二年生の頃から(19才)から40才までファッションの世界。テキスタイルデザイン、アパレルの創業請負人的なビジネスのインキュベーター、そして40才前後の頃に日産自動車とひょんなことからBe-1のコンセプト開発に関わることになる。
そして1995年以降のインターネット革命に出会い、ブランドデータバンクという「ユーザの所有するあらゆるブランドのビックデータを集め分析するエンジン」を山田進太郎やチームラボと開発した。
つまり大まかに言うとファッション、プロダクト、インターネットというジャンルを駆け抜けてきたことになる。そういう自分自身のキャリアの投影として研究のテーマは、「アートとデザイン」「デザインとテクノロジー」「大企業とデザイン・コミュニケーション」「ビジネスとクリエイティブの間」と多岐にわたる。
多様なジャンルのクリエイターを、ほぼ毎週のように招聘し、学生がクリエイターの胸を借りてアイデアやデザインを考え発想する研究室を運営してきた。技術的には電子工作やプログラミングなどのスキル取得を研究課題に置き、主に久下玄が指導してきた。
無事任期を勤めることが出来たのも同僚の先生方、学事の方々の手厚いサポート、そして何よりも知的好奇心と意欲溢れる学生達のエネルギーがあってのことだった。皆様に感謝!