2011年5月24日火曜日

サンローラン自身が、衰えを感じる姿を晒して「引退表明」を行う衝撃のシーンから始まる「映画イヴ・サンローラン」モードの創造者として約50年間ファッション界の頂点に君臨し続けた世界的デザイナー。その光も強ければ闇も深い自伝的映画。


アートファッション


















映画『イヴ・サンローラン』を見てきた。映画的に面白いかどうか?ともかく、僕には面白い映画だった。サンローランはデザイナーであり芸術家だった。彼の才能であればどんな領域のデザインの世界でも彼は成功したに違いない。一語一語噛みしめるように自身の言葉で「引退表明」を行うサンローランの衰えを感じる姿で始まる。モードの創造者として約50年間ファッション界の頂点に君臨し続けた世界的デザイナーは2008年に他界した。
サファリルック
























この映画でもっとも印象に残った彼の言葉は、サンローランの2002年の引退間際に「ファッションは死んだ」と言ったこと。様々な時代の変化に対応してきたサンローラン、サファリルックやスモーキング、モンドリアン・ドレス他、次々と世界のファッションに大きな影響力を与え続けた。しかし自身の思い続けたファッションデザインが変化し始めた1990年頃の言葉、くしくも日本からはヨージヤマモト、レイカワクボがパリコレに参加していった頃と重なる。
サンローランは21歳でディオールブランドの主任デザイナーとなった。1962年、神経衰弱の完治とともにディオールを去ったイヴは、芸術後援者で恋人のピエール・ベルジェの出資により自身のレーベル「イヴ・サンローラン(YSL)」を設立、活動を開始する。ベルジェは政治家にも顔が利く頭の切れるビジネスマンだ。このベルジェとサンローランは、二人で一人だった。

ファッションデザイナーは特に過酷な仕事だ、他の領域のデザイナーと決定的に違うのはどんなにスランプに陥っても必ず年に二回あるコレクションで、新作を発表し成功し続けなければならない。そしてプロダクトや建築ではしばしば訪れる技術のイノベーションというデザインの新しい動機とは無縁だ。


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