2010年11月15日月曜日

一時はAKB48を最高のランクのグッドデザイン大賞に押す流れもあったようで、デザイン関係者の中で賛否両論が噴出した。結局AKB48は「グッドデザイン賞ベスト15」に落ち着き、大賞は逃した。



一時はAKB48を最高のランクのグッドデザイン大賞に押す流れもあったようで、デザイン関係者の中で賛否両論が噴出した。結局AKB48は「グッドデザイン賞ベスト15」に落ち着き、大賞は逃した。AKB48はエンターテイメント・プロジェクト・デザインという評価。ちなみに今年のグッドデザイン大賞はダイソンの羽根のない扇風機「エアマルチプライアー」が受賞した。

以下Twitterで多数行われた議論の一例として、賛否両論の真摯な議論が行われたナガオカケンメイさんと、中村勇吾さんのやりとりの一部。追加された勇吾さんのコメント:というわけで、「グッドデザイン賞」=「グッドプロダクトデザイン賞」に徹するいうことなら、超納得です。ただそうではなく、対象分野も拡げるというなら、価値観も拡げてよね、ってことです。

ナガオカケンメイさん:グッドデザイン賞、AKB48をどうしてグッドデザインとしたか、静岡の原寸大ガンダムが、なぜ、グッドデザインなのか、ふざけるなって、感じじゃないですか?選んだ審査委員に問いたい。もはや、グッドデザインの形も多様化しているとか言いそうだけど、王様のアイデアや流行語大賞じゃないんだから

中村勇吾さん:ガンダム:イベントデザインの手法として斬新。集客もあった。AKB:アイドルのシステムデザインとして斬新。集客もあった。 ナガオカケンメイさん:では、質問。なぜ、グッドデザインなのですか?

ナガオカケンメイさん:ただ怒っているのではありません。当たり前に考えているだけです。いまや、グッドデザイン賞とは、衰弱化した日本産業のカンフル剤的で、なくなると製造メーカーや、マーケットが活気づかない。つまり、正しいデザインを明確にする純粋な選定ではなく、全てとは言わないけれど、販売促進、宣伝、インハウスデザイナーの意味曖昧な目標になっている。

中村勇吾さん:そうかも知れないが、その問題と審査結果の問題は別なのでごっちゃにしては駄目。言葉のデザインが下手。

中村勇吾さん:もっと真摯な審査を通じた厳正な賞が存在して欲しいという話は同意です。実際、GD1000個のうち大半は「よくがんばったで賞」だと感じました。ていうか、GD賞というのはそもそもそういったある種の奨励制度である、という認識でした。ただ、大賞とかベスト15の金賞の審査はそういった審査ではないはず。なので議論は別。

ナガオカケンメイさん:うまく伝わらないのが、残念ですが、デザインの価値観がかなり違うひとたちの、グッドデザインと言う名前においての、単なる可能性探りは危険。正確には、プロダクトデザインから始まったこの賞は、いまや、意味が違いすぎますね。


























審査員のコメントは、近年のエンターテインメントプロジェクトデザインとしては群を抜いた先見性と完成度で、社会に非常に大きなインパクトを与えた。今後もさらなる地方展開、海外展開をふまえ、ジャパニーズポップカルチャーをグローバルなエンターテインメントビジネスとして成立させる可能性を大きく感じさせるプロジェクトデザインである。と、評価した。

最後に深澤直人さんがグッドデザイン賞審査委員長就任にあたり書いた、「だれもが、これいいなぁと感じるようなものにグッドデザイン賞が与えられるということが大切です。受け手の感じ方にズレが生じることのない審査に努めたいと思います。」というコメントにすべてが含まれている。デザインを再定義し整理する時期が来たのかな?ブログを読んだ方はどう思いますか?

6 件のコメント:

  1. グッドデザイン賞はあのGマークがJISマークみたいで格好いいなと思うので、専門家の皆さんが良いなというものにはどんどんつけてあげて欲しいです。個人的には、「きぼう」日本実験棟をを大賞に選出したらもっとニュースになっただろうと思いました。(AKB48でも良いですけれど)産業に与えるインパクトを考えたら、前者でしょうか。

    返信削除
  2. 「きぼう」は「グッドデザイン賞ベスト15」でAKB48と同じランクで受賞しています。

    返信削除
  3. 少し長くなってしまいますが、九月末のグッドデザイン賞発表時のツイートを少し加工してコメントいたします。

    AKB48のGD金賞受賞でGD賞自体が評価を落とすのは構わないとしても、そのおかげで日本のデザインが海外から軽く見られたりするのは嫌。

    GD賞が日本のプロダクトデザイン全体の価値を高める役目はまだ終わっていないと思う。秀れた工業製品は日本の持ち味。韓国、中国に追い越されないために。

    もちろんデザインにボーダーを設けるのは好きではないが、賞としてはあまりにも手を広げ過ぎ。器を間違って使っているように感じる。

    プロダクトデザイン賞ではないので中村氏のご意見は正しいと思いますが、ナガオカ氏に賛同。

    返信削除
  4. tostos_0122さん:秋元さんは、AKB48はアイドルの大量生産システムだと考えているような気がします。であれば、グッドデザインというより「財団法人産業デザイン振興会」の産業振興という目的は果たしているようにも思えますね。

    返信削除
  5. デザインの定義を広く捉え過ぎると本質的なデザインが失われるような気がします。インフラやシステムは確かに設計的な意味は含まれると思いますが、それがデザインとして評価してしまうと、もはやなんでもありになってしまうからだと思います。
    デザインの価値を高めていくことがその会社や産業の発展に寄与する意義がるという意味でグッドデザイン賞はあるはず。
    日本はまだまだデザインにお金を払わない国ですし、国民的にデザインに対する意識が低い。よってまだまだデザインを世に浸透させる必要がある。
    やはりグッドデザインはデザインそのものの評価を選定する賞であってほしい。

    返信削除
  6. お二人のやりとりは自分から見ると「メディア側」と「プロダクト側」のシンプルな対峙に見えます。

    つまり
    「いかにメディアを作ることが大変か知っている人間」と
    「いかにプロダクトを作ることが大変か知っている人間」

    だからお二人の意見はそれぞれ正論だと思います。

    メディアにはメディアを表彰する賞がある。
    芸能には芸能を表彰する賞がある。

    では日本の「プロダクト」「ものつくり」を表彰する賞は?

    それがグッドデザイン賞じゃなかったか。
    それを世界的にアピールできる賞にするはずじゃなかったか。

    ナガオカさんはそういう思いだと、受け止めました。
    確かにそのとおりだと思います。
    曖昧にすればするだけ
    広義にすればするだけ
    世界的な賞としての価値は下がっていく。
    そんな当たり前のことがどうしてわからないのか。という叫びのように思えます。

    そこまでは彼は言いませんが、
    日本国内での自慰行為に終わってしまっては今までの賞としての歴史も権威も無駄になるー
    そういう危機感だと感じました。

    返信削除